篠沢教授 難病と闘い…逝く 「クイズダービー」1枠解答者として人気
TBS系の人気番組「クイズダービー」でも活躍したフランス文学研究者で学習院大名誉教授の篠沢秀夫(しのざわ・ひでお)さんが26日未明、東京都文京区の病院で死去した。84歳。東京都出身。葬儀・告別式の日程は未定。喪主は妻礼子(れいこ)さん。
優しい笑みで親しまれた「篠沢教授」が旅立った。大橋巨泉さん司会で1976年にスタートした「クイズダービー」に女優の竹下景子(64)、漫画家はらたいらさんらと共にレギュラー出演。1枠の解答者として決して正解率は高くなかったが、「愉快、愉快」が口ぐせで、正解が多い場合を「下品」と表現するなど、巨泉さんとのユニークなやりとりでお茶の間の笑いを誘った。
篠沢氏は学習院大から東大大学院に進学し、19世紀以降のフランス文学の文体を研究。パリ留学などを経て明治大や学習院大で教授を務めた。著書に「文体学の基礎」「日本国家論」、訳書にモーリス・ブランショ著「謎のトマ」などがある。保守派の論客でも知られ、テレビなどで論陣を張った。2009年に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され人工呼吸器を装着。自宅療養しつつ、闘病を巡り精力的に執筆、講演を続けていた。
「クイズダービー」で共演し、番組終了後も家族ぐるみで親交があった長山藍子(76)はデイリースポーツの取材に対し、「1枠の先生と2枠の私は“穴馬”。2人ともクイズには当たらなかったけど、『当たらない方がいい。頭がいいから当たらないんだよ』となぐさめてくれた。2年間、先生の隣りに座らせてもらって本当に楽しかった」と振り返った。療養後も何度か見舞ったといい「先生は病気になってもニコニコされて、呼吸器を付けられていても苦しいところは見せなかった」と悼んだ。