スパイダーマン、1歩間違えばハエ男だった…作家スタン・リー氏が明かす
「スパイダーマン」「X-MEN」などを生み出したアメリカンコミック(アメコミ)界伝説の作家スタン・リー氏(94)が30日、都内で来日会見を行い、スーパーヒーローの誕生秘話を明かした。
なぜ数々のヒーローを生み出すことができたのかを尋ねられたリー氏は「才能があるんです。とてもラッキーなことにね」と笑わせた。「スパイダーマン」については、壁にいるハエを見たときに「壁にくっついて動けるヒーローがいればいいなと思ったんです」とアイデアの出発点を明かした。ただ、「フライマン(ハエ男)」はさすがに受けないと感じたようで、他の虫を考え「スパイダーマン」にたどり着いたという。
当時はすでに「ファンタスティック・フォー」や「X-MEN」などで名声を得ていたが、「スパイダーマン」の出版社からの評判は「最悪」だった。これまでにない斬新な作品にしようと主人公ピーター・パーカーを10代の少年にして、さらに家庭は裕福ではなく病気の家族を介護しないといけないという設定にした。しかし、出版社からは「10代の少年は脇役(バットマンにおけるロビンのような存在)にしかならないし、スーパーヒーローに個人的な問題は必要無い」と完全否定された。
仕方なく、リー氏は廃刊が決まっていた「アメージング・ファンタジー」という雑誌の最終号に「スパイダーマン」をそっと掲載した。これが出版社の予想に反して若者を中心に大ウケとなった。リー氏は後日、編集者から「レギュラー(連載)にしよう」と逆に提案されたという。結果、スパイダーマンは世界で最も有名なスーパーヒーローの1人に。リー氏は「わたしの1番売れた作品ですね」とクモの糸1本で生き残ったスーパーヒーローを誇った。
リー氏は、自身が開催を提唱した「東京コミックコンベンション(コミコン)」(12月1~3日、千葉・幕張メッセ)への参加のために来日した。コミコンの会場でサイン会などを行う予定となっている。