羽生棋聖 「永世7冠」の偉業成就に「ほっとしています」

 将棋の羽生善治棋聖(47)は5日、通算7期目の竜王を獲得し「永世竜王」の資格を得て、永世称号制度のある7タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)全てを手にする「永世7冠」を史上初めて成し遂げた。鹿児島県指宿市で指された第30期竜王戦7番勝負の第5局で、挑戦者として渡辺明竜王(33)を先手番87手までで撃破。対戦成績4勝1敗で15期ぶりに竜王を獲得し、棋聖と合わせ2冠に。自身の持つ通算タイトル獲得記録を99期とした。

 将棋界の第一人者が、永世7冠という初の偉業を達成した。47歳という年齢的な衰えがささやかれる中、自信にあふれた完璧な指し回しで竜王を奪取。プレッシャーを力に変え、前人未到の領域に到達した。

 午後4時23分、渡辺明前竜王が力尽きたかのように投了した。羽生竜王は静かに頭を下げ、「今はほっとしています」と激闘のシリーズを振り返った。

 強さを象徴した第5局だった。初日に思い切った新構想で優位に立つと、2日目は完璧に勝った。変幻自在の指し手ですべての駒が動いた。立会人を務めた青野照市九段は「羽生さんの仕掛けには驚いた。あれで局面をリードするとは…」とただ感心した。

 最多六つの永世称号の資格を得ていた羽生竜王は2008年と10年、竜王戦で永世7冠を懸けて渡辺前竜王と対戦し、いずれも敗れていたが“リベンジ”を果たした。

 短いインタビューを終えた後、快挙を喜ぶ大勢のファンが待つ大盤解説場に向かった。「永世7冠、おめでとうございます」「感動しました」の声が飛び、羽生竜王は無言で会釈した。

 次はあと1期に迫った通算タイトル獲得100期という初の大台が待っている。「自分なりにいい状態でタイトル戦を迎えたい」。15歳でデビューした天才棋士の闘志はまだまだ健在だ。

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