セクハラ被害、その時どうすれば…法的に有効な証拠を「行列」北村晴男弁護士が指南

 米ハリウッド映画の大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏が長年にわたってセクハラをしていたと報じられ、同様の告発が英国にも広がっている。日本でもセクハラ被害は深刻だ。実際に被害にあったとき、どのような証拠が法的に有効なのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。

 「法的に最も有効なのはセクハラの現場を撮影した音声付きの映像で、2番目は音声のみの録音です」と北村弁護士。加害者の言動を収めたこれらのどちらかがあれば相当有力な証拠になり得る。録音、録画においては相手の同意がなくても原則として証拠として法廷で採用される。犯罪行為、不法行為に関して証拠を確保するための手段なので原則として禁止されない。

 昨今ではスマートフォンに同様の機能が付いたものが多く、スマホでとったもので十分証拠になり得る。

 次に有効なのが第三者による目撃証言で、さらに「日記も有効です」と北村弁護士。職場においてセクハラ被害を受けているとすれば、被害の内容を毎日詳細に記しておけば一定の証拠能力があるという。加えて、被害を受けて精神的にダメージを受けたために心療内科などに通院すれば、そこでのカルテも重要な証拠になる。カルテには通常、被害者から聞き取ったセクハラの内容や加害者についても詳しく書かれているからだ。

 セクハラ被害の多くは職場で起こっている。職場では毎日会う人間もいれば、めったに会わない人間もいる。前者だと証拠集めは可能だが、後者だと簡単ではない。職場で初対面の相手から想定外のセクハラ被害を受けて録音録画もしておらず、「次は証拠をとろう」としても相手が離れた場所にいて証拠をとる機会自体がない場合もある。そういった場合、被害者はどのように対処すればいいのか。

 北村弁護士は「セクハラ加害者は常習性が高い」と指摘。従って、当該人物と同じ職場などで被害を受けた人物、被害を受けて職場を去った人物が少なからずいることが考えられ、そういった人物を探して「供述を得ることが有効」という。

 セクハラ事件においては、場合によっては500万円を超えるような被害弁済額が認められる場合もある。北村弁護士は「ただし、加害者側は必ず『合意があった』と主張する。深刻な争いになる」。それだけに被害者はつらい気持ちを押してでも証拠を確保することが自分を守ることにつながる。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。

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