囲碁井山氏、20代で国民栄誉賞…イチロー選手のように長く活躍したい
安倍晋三首相は5日、将棋界史上初の「永世七冠」を達成した羽生善治氏(47)と、囲碁で初めて2度の七冠独占を果たした井山裕太氏(28)に国民栄誉賞を同時授与することを決定した。棋士の受賞は初めて。
井山氏は政府からの正式決定の連絡を受け、大阪市内で会見。緊張した面持ちで「まだ実感が沸かず、私が頂いて良いのかと思う。棋士としても人間としても、これから。少しでも皆様のご期待に沿える棋士になれるよう、努力したい」と述べた。
国民栄誉賞に関して「最初の受賞者の王貞治さんのように、ものすごい記録を樹立されただけでなく、それを超えて、人柄も尊敬される方が受賞するイメージがあり、想像もしなかった賞。いろんな面で自分はまだまだだと思います」と謙虚に語った。
井山氏は、同時受賞した羽生氏に関して、大ファンである大リーグのイチロー選手を重ね「羽生先生もイチロー選手も、実績を残しながらも現状に満足せず長く活躍されている。プロとして理想の姿で、今後も大きな目標としたい」と話した。
囲碁界初の受賞については「長い歴史ある囲碁界を評価していただけたと解釈しており、大変喜ばしいです」と喜んだ。
今後、世界戦を控える井山氏は「まだ世界一になったわけでなく、子供の頃からの目標であることに変わりません」。国民栄誉賞を受賞し、注目が増す中での対局が始まることに「棋士は結果を残すだけでなく、囲碁界が注目されるよう努力し、盛り上げてゆくのが役割だと思います。今回の受賞をきっかけに注目していただけると思いますので、難しいイメージもある囲碁の魅力、おもしろさを、ひとりでも多くの方に興味を持っていただければ幸せです。精一杯、力を出し切り、いい戦いをしたい」と意気込んだ。
20代での受賞を「今後に期待していただいていると解釈し、長く活躍できる棋士になれるよう努力したい。本当にまだまだこれからの人間です。満足することなく向上心を失わず、挑戦する姿勢を大切にしたい」と決意表明。酒豪でも知られることを聞かれると「対局でいい結果がでると、おいしくいただけますし、羽目を外さないようたしなみたいと思います」と照れ笑いを浮かべた。