名盤「ポテトボーイズNo.1」初の再現ライブを行ったイモ欽トリオを直撃
1980年代の伝説的テレビ番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」で誕生したヨシオ=山口良一(62)、ワルオ=西山浩司(56)、フツオ=長江健次(53)の「イモ欽トリオ」が、唯一のアルバム「ポテトボーイズNo.1」(1981年)の初の再現ライブを、長江が主催する音楽フェス「長江健次Cafe Vol.5 2018」(20~29日、神戸チキンジョージ)の初日である20日に行った。デイリースポーツでは、終演直後のイモ欽トリオを独占直撃した。
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イモ欽トリオはデビューシングル「ハイスクールララバイ」を大ヒットさせたが、アルバムもヒットメーカー、松本隆氏が9曲で作詞を手がけ、作編曲は吉田拓郎、細野晴臣、南こうせつ、故井上大輔氏、ムーンライダースのメンバー、演奏はムーンライダースという豪華さ。現在では「音楽のプロが今更ながら名盤だって言い出す」(長江)と、評価が定まっている。
ライブでは「欽ドン」のテーマに乗って3人が1人ずつ登場するオープニングから、超満員の会場がイモ欽トリオの世界に染め上げられた。西山は「あのオープニングはすごいステキだったもん。1人ずつ出てきてね。あれがやっぱり基本的なキャラだし、紹介だから。あの形が大正解」と自賛する。
その後は、長江の「ここでしか見られない、一瞬を作りたいんですよ」という言葉通りのスペシャルなシーンが続出した。
アンコールでは、セカンドシングル「ティアドロップ探偵団」のB面曲「サーフサイドX」が歌われ、前半に出たベテランロックバンド「The東南西北」と合体して同バンドの名曲「イタバリ・ローカ」が披露された。最後の曲はこの日、2回目となった「ハイスクールララバイ」。山口と西山のポジションと振り付けが入れ替わるというサプライズで、再現ライブを締めくくった。
西山は「今日、『ポテトボーイズNo.1』やってて、『やっぱりいいアルバムだな、いい曲だな』とか、つくづく思う。山口くんの曲を聴いていても健の曲を聴いていても、ほとんど歌えるし、横で聴いていても楽しいし、コーラスしても楽しいし、自分が歌っていても楽しいしね。1曲1曲にそれぞれに思い出があったり、思い入れがあったり」と、歴史的なステージを振り返った。
終了後はファンと交流。「ポテトボーイズNo.1」のLPを持参したファンが、メンバーにサインをもらって回る光景があちこちで見られた。
長江は「ホント楽しかったですね。みんなが楽しそうにしてるのが一番。みんなの笑顔が見られて良かったな」と言いつつ、自分も笑顔になっていた。
当時はアルバムをフォローするライブやツアーは「何もしないまま終わった」(長江)とあって、山口は「36年たって今、全部できたのは良かったですね」、西山も「1枚でも形になったアルバムがあって良かったな」と喜んだ。
82年に長江は「欽ドン」とイモ欽トリオを離れたが、紆余(うよ)曲折あったものの3人の関係が終わることはなく、この日も歌に踊りにトークにと、息の合ったステージを繰り広げた。
その理由について、長江は「年齢の差じゃないですか」「大将のおかげで役割が決められたんですけど。3人でやる時の、3人の役割ができたのが面白い」と、年齢差と萩本欽一が決めた役割という2点を挙げる。山口は55年3月27日、西山は61年1月10日、長江は64年7月17日生まれだ。
西山も「当時を振り返ると、健次と僕が近いということで、ちょっとぶつかりかけるような場面もあったんだけど、そういう時に山口くんが長男として、お兄ちゃんとして『まあまあ』みたいな感じのところもあったしね。そういうところでいいバランスのトリオなんじゃないかな。兄弟の関係みたいなものが自然にうまい具合にできているのかなという、そんな気がしますけどね」と補足した。
長江はライブ前、「最初で最後かも」と話していた。この日の盛り上がりを目の当たりにすると神戸以外での開催も期待されるが、長江も「山口さんも西山くんもわざわざ(神戸まで)来てくれるという、わざわざ感が僕は…」と言いつつ、「うまく積み重なって東京でやれたらいいな」と、再演に前向きなところも見せていた。