今どきアニソンの作り方、大原ゆい子の場合 「昔に戻る感覚」大事に

アニメソングをつくる上の心構えを語ってくれた大原ゆい子
大原ゆい子のシングル「言わないけどね。」
大原ゆい子がオープニング曲を担当するアニメ「からかい上手の高木さん」
3枚

 アニメ作品のイメージを作り上げる「顔」と言える存在がアニメソング。何十年も前の作品でもその曲を聴けば、当時の思い出がよみがえるものも多いが、現代のアニメソングはどうつくられているのか。今年1月からスタートした「からかい上手の高木さん」のオープニング曲「言わないけどね。」(2月14日リリース)を担当したシンガー・ソングライターの大原ゆい子にアニソンの作り方や、制作上の思いを聞いた。

 作詞に苦しんだ大原が悩み抜いてひねり出したのが、曲の最初のフレーズだった。プロデューサーらとの打ち合わせで「サビ始まり」にすることは決めていた。「一番最初に聞いてもらう部分が頭の中に残るか。出てくるまではかなり時間がかかりました」。Aメロ、Bメロの大まかな流れはできあがっていたが、肝のサビを完成させるまで「2週間ぐらい」かけて書き上げた。

 大原の場合、仕事を受けたらまず音楽プロデューサーらと打ち合わせをして、大まかな世界観を決めてから楽曲づくりを始める。原作も読み、イメージを膨らませ、「メロディーから書いて、何曲かディレクターさんになげて、その中からこの曲がいいね、となったものに歌詞をつけていきます」と制作を進めていく。いわゆる“メロ先”の手法をとるのは、「メロディーがキャッチーでなければ歌詞が入ってこないんじゃないかな」と考えるからだという。

 こだわりは細部に及ぶ。歌詞に出てくる「○○よね」、「したいなあ」という語尾や、しゃべり言葉での表現など、原作でお茶目に描かれる高木さんのキャラクターが伝わることを考え、「女の子が歌ってくれたらすごくかわいいんじゃないかなと想像しながら書いた曲になっているので、『コノコノ~』と思いながら聞いてほしいです。照れてほしいです」と思いを詰め込んだ。また、これまでいくつかの作品でエンディング曲を手がけてきたが、今回は自身初のオープニング曲となるため、「物語を切り開いていくための入り口というイメージ」を落とし込んだ。

 大原自身は小学5年から学校の部活動で始めたバイオリンがきっかけで真剣に音楽と向き合うようになった。父親の影響で好きになったというスピッツや松任谷由実といったアーティストの楽曲を聞き込んだり、ギターで耳コピする音楽少女に育ったが、こうした青春時代も現在の楽曲作りに通じている。「スピッツさんのノスタルジックなメロディーの曲がすごく好きで、『空も飛べるはず』を聞いた時に『昔に戻る』ような感覚がメロディーにあって」。この時間を超えられるような感覚を大事にしているのだという。

 「はやっているテイストはアニメソングで振り返ることができる。私は『名探偵コナン』の曲がすごく好きで、ZARDさんとか、GARNET CROWさんとか聞いていたので、あの年代の音が自分の中に記憶されているので。小さい時に聞いていた曲が大人になった時に色あせないである、というのが理想ですね」

 「からかい上手の高木さん」は、高木さんという女子中学生が、隣の席の西片くんを文字通りからかい、西片くんからの仕返しをさらりとかわす会話劇。でも、なぜわざわざからかうのかというと…という甘酸っぱさの伝わるラブコメディとなっている。「昔だったら(歌詞に)アニメタイトルの『高木さん』っていうのが入っているかもしれませんけどね。(イメージに)合っていると感じてもらえるとうれしいです」と語る大原が、「目標と言うのもおこがましい」と語る存在が坂本九さん。「自分のいなくなった後にも歌ってもらえる作品を作り続けて、少しでもたくさんの人に聴いてもらえる曲をつくれたらいいなと思っています」とアニメとともに生き続ける楽曲づくりを誓った。

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