藤井五段 昇段後初戦制した 3月にも杉本七段と師弟対決へ「対局するからには全力」
中学3年生の最年少棋士・藤井聡太五段(15)が5日、関西将棋会館で行われた「第68期王将戦」の一次予選1回戦で、南芳一九段(54)を大激戦の末に破り、五段昇段後の初戦を白星で飾った。
また、同棋戦一次予選2回戦では、公式戦で初めて、師匠の杉本昌隆七段(49)と対局することも決まった。早ければ3月にも師弟対決が実現する見込みだ。
2回戦で、ついに“師弟対決”が実現する。関係者によると、「順位戦」では対局することがないよう調整しているというが、その他の棋戦では、トーナメントの初戦での対局にならないようにしているだけという。
藤井五段は、師弟対決について「対局するからには全力を尽くしたいと思います」と決意を口に。この日、関西将棋会館を訪れていた杉本七段は「公式戦で対局できるのは弟子の成長を実感できるひととき。師匠として特別な思いがある」と大きく育った弟子との対決に感慨深げ。勝つ自信を問われると「何かの企画で投票してほしいくらい、ピンとこないですね」と笑って明言しなかったが、「負けると思われてもしゃくなので良い将棋を指したい」と師匠としてのプライドをにじませ、静かな闘志を燃やした。
1日に昇段したばかりの藤井五段にとって、この日は五段となってから初の対局。意識せずに臨んだというが、対局は後手の藤井五段が穴熊に囲い、長期戦に。これまでの対局での最長手数となる昨年7月の三枚堂達也六段(24)戦の219手を上回る、230手の大激戦となった。
劣勢が長く続き、大逆転勝利となった藤井五段は対局後、ぐったりとした様子で取材に対応。「仕掛けられたあたりから形勢を損ねてしまった。そこからかなり苦しい時間が続いていた」とぼうぜんとした様子で振り返った。関係者の1人は「『棋士は勝ちが一番のクスリ』という。勝つと元気になるが、藤井五段はすごい疲れていた。対局過多もあるのでは」と指摘した。
藤井五段は今後8日と14日にも対局を行い、17日には羽生善治竜王と激突する。