職務質問 「任意だから応じなくていい」は本当か?「行列」北村晴男弁護士に聞く

 大阪で男性巡査長が男に職務質問したところ、男はナイフを取り出して抵抗し、巡査長は拳銃を発砲。男の右太ももに命中した。男は公務執行妨害と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕となった。職質に関して「任意だから応じなくていい」との都市伝説にも似たうわさがある。逮捕された男も「任意やろ」と抵抗したとされる。「任意だから…」と言って職質を振り切ることはできるのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。

 北村弁護士は職質が「任意捜査であることは間違いない」と述べた。いわゆる「令状主義」に基づく考え方で、人権侵害の危険がある逮捕や捜索などの強制捜査は、現行犯逮捕などの例外をのぞいて裁判官・裁判所が発した令状によらなければならないとする捜査における原則だ。

 他方、職質の根拠は警察官職務執行法第2条に規定されており、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者または既に行われた犯罪について、もしくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と明記されている。

 北村弁護士によると、職質対象者を停止させるために警察官が肩に手を掛けることは質問できる状況を作る手段として適法とされているという。この場合、肩をつかまれた状態から振り払うと、その振り払い方次第では公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されることが十分に考えられるという。

 肩をつかまれる前に足早に自宅に入ればどうなるのか。北村弁護士によると、警察官がドアを蹴破ってくることはないが、チャイムを何度も押して職質に応じるように説得を続ける場合もあるという。

 「職質によって犯罪が発覚することは実際に多い」と北村弁護士。「覚せい剤や盗難品が見つかることなどがきっかけになる。従って裁判所も、治安を守るために職質の際に一定の有形力行使が必要であると認めざるを得ない面がある」と指摘した。

 職質が任意捜査であることは間違いない。だからと言って「応じない」ことを貫くことは、かなり難しいと言えそうだ。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。

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