川口和久氏、因縁の“クモ男”と対面「わびのひとつも言ってほしい」
広島、巨人でプレーした川口和久氏が2日、TBS系「爆笑THEフライデー」に出演。現役時代、登板した試合でバックネット裏によじ登った因縁の“クモ男”と対面した。
1990年5月12日、広島市民球場で行われた巨人-広島。川口は広島の先発マウンドに上がっていた。予期せぬハプニングは午後7時20分、巨人の六回表の攻撃前に起こった。
突然、忍者もどきの男が球場に乱入。バックネットによじ登り、垂れ幕を垂らした。記されていたのは「天誅!悪ハ必ズ滅ビル!」、「ファンヲアザムクナ!」、「巨人ハ永遠ニフケツデス!」の3項目。さらにネット上から煙り玉を放り投げ、試合を中断させた。
当然、威力業務妨害の現行犯で逮捕。翌日、新聞では「クモ男逮捕」として大々的に報じられた。クモ男の正体は、熱狂的な広島ファン。当時、巨人の一部選手による裏金疑惑が問題化していたことに怒り、「夢を与える選手が何をやっている」と騒動を実行したという。
番組には、事件を起こしたクモ男本人が匿名で出演。当時を振り返り罰金20万円、ネットから飛び降りた際に右足首を複雑骨折したことなどを明かした。また、ギプスを半年、リハビリにも半年費やしたことで務めていた建設会社も退社。自宅には巨人ファンや野球ファンから脅迫電話がかかってきただけでなく、カミソリ入りの手紙なども届いたという。
だが、年末の「プロ野球珍プレー好プレー」に何度も登場。面白おかしく取り上げられたことで、周囲から「サインください」とねだられるほどの有名人になり、クモ男の名刺まで作ったという。
この事実を知った川口氏は「クモ男には怒っています。わびの一つも言ってほしい」と鬼の形相で、本人と対面。「ヒーロー気取りってのが頭にきます。NHKで全国中継されて、選手も気合いが入っていた。(クモ男の登場で)勝ってる試合を逆転されたんです。その1勝があれば通算140勝だったんですよ」と怒りをぶちまけた。
「申し訳なかった」と謝りながら、「今日が一番の思い出。川口さんに会えたもん」と笑うクモ男。川口は「反省してますか?」と苦笑いしながら、仕方ない様子でがっちり握手した。