森友問題のキーマン… 近畿財務局職員が自殺 佐川国税庁長官は辞任
学校法人「森友学園」の国有地売却問題を巡り、財務省近畿財務局の担当部署で対応に当たった男性職員が7日に神戸市の自宅で死亡していたことが9日、分かった。遺書もあり、兵庫県警は現場の状況から自殺と判断した。また国有地売却問題で批判を受けていた佐川宣寿国税庁長官(60)はこの日、辞任。国会審議を混乱させた責任を取った。キーマンの相次ぐ衝撃的展開に安倍晋三首相の政権運営への打撃となるのは必至だ。
近畿財務局は地中から見つかったごみ撤去費として約8億円を値引きし2016年6月、森友学園に国有地を売却。17年2月に値引き問題が発覚した前後に男性職員は、管財部の担当者として取材に対応していた。
今回の急死について兵庫県警は、遺書の存在などから自殺と判断した。この職員は、昨年秋ごろから体調を崩し、欠勤しがちだったという。一連の問題で、大阪地検特捜部は背任容疑や、保存義務のある文書を廃棄したとする公文書毀棄(きき)容疑などで捜査しているが、この職員は聴取を受けていないという。
国会混乱で引責
またこの日夕方、佐川長官の辞任が、政府の持ち回り閣議で決定した。財務省理財局長時代の国会答弁で、森友学園との事前の価格交渉を否定し、森友学園との交渉記録についても「廃棄した」と繰り返し説明していた。
だが、交渉をうかがわせる内部文書や音声データが次々と見つかった。野党は反発を強めていた。国税庁長官には17年7月に就任。疑惑の中での“栄転”で批判を浴びていた。
佐川氏はこの日夜に財務省で取材に応じ、「決裁文書の話が国会で大きな議論となり、文書提出時の担当局長だった責任を感じた」と辞任理由を説明。職員自殺については「今日のニュースで知った。本当に残念だし、心からご冥福を祈りたい」と述べた。
麻生財務相は夜に開いた会見で、佐川氏について「才能、経歴をみても、適任な人と思っている」と述べ、国税庁長官への任命責任を否定した。