昭恵首相夫人の名前消えていた 「森友問題」財務省14文書で書き換え
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書書き換え問題に関し、財務省は12日、国会に調査結果を報告し、14文書で書き換えがあったと認めた。
格安の払い下げ問題が発覚後の昨年2月以降に行われた。削除部分に安倍昭恵首相夫人や複数の政治家の名前もあった。麻生太郎副総理兼財務相の責任を問う声が高まるのは必至。安倍晋三首相の政権運営への打撃となる。野党は書き換えの指揮系統や動機を追及、首相や麻生氏の辞任を迫るとともに、昭恵夫人の証人喚問を引き続き求めていく。
ネット上では「アッキード事件」と揶揄(やゆ)された森友問題。決裁文書の書き換えで、昭恵夫人の名前が消えていた。
共産党の小池晃・書記局長は国会内で記者団に、昭恵夫人らの関与があれば国会議員を辞職するとした昨年2月の首相答弁を踏まえ「答弁を巡って書き換えたのなら符合する話だ」と指摘。昭恵夫人の証人喚問を求めた。
報告によると、昨年2月下旬から4月にかけて2015年2月~16年6月の5決裁文書が書き換えられ、それを反映する形で14年6月~16年6月の9文書も書き換えられた。報告書は約80ページ。
削除されたのは、平沼赳夫元経済産業相や鴻池祥肇元防災担当相、北川イッセイ元国土交通副大臣、故鳩山邦夫元総務相の秘書らの発言や対応内容。「本件の特殊性」「特例的な内容」といった文言も、国会議員らに昨年開示された文書で削られた。森友学園との売買決裁文書では「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」との文言もなくなった。
書き換え前の文書には昭恵夫人から「いい土地ですから、前に進めてください」とのお言葉をいただいたと森友側が発言していたという記載もあった。14年4月に昭恵夫人が森友学園を視察し講演したとの記述もなくなった。昭恵夫人は森友学園が計画した小学校の名誉校長を一時引き受けた経緯がある。
森友学園の籠池泰典前理事長を「(保守系団体の)日本会議大阪に関与」と紹介し、関連の日本会議国会議員懇談会を「特別顧問として麻生氏、副会長に安倍総理らが就任」と説明した部分も削除された。
財務省は8日に決裁文書「原本」の写しを国会に提出し、議員への開示文書と同じだと説明。翌9日には佐川氏が国税庁長官を引責辞任した。佐川氏は国会で国有地売却について「法令に基づき適切に管理、処分を行った」と答弁していた。
森友問題では大阪地検特捜部が背任容疑や公文書毀棄(きき)容疑などの告発を受理している。