歌舞伎俳優・市川猿之助（４２）が１７日、都内で行われた主演舞台「スーパー歌舞伎２　ワンピース」（４月１日初日、大阪松竹座）の会見に出席した。昨年１０月、東京・新橋演舞場での同作上演中に左腕を骨折し、休演。１月２日の東京・歌舞伎座「壽　初春大歌舞伎」で復帰していた。けがが完治しておらず、代役を務めた尾上右近（２５）とのダブルキャストでルフィを演じる猿之助は「（完全）復帰するなら、『ワンピース』にしないと話題にならない」とプロ意識を示した。

　猿之助が半年ぶりに「ワンピース」に帰ってくる。

　今回は４パターンの配役があり、猿之助は右近とルフィ、シャンクスを平岳大（４３）と演じる。演出も担当する猿之助は「けがをしたときには（１８年の）再演が決まっていた。治り状況と照らし合わせて、これじゃなきゃ無理なので。（昨年に）右近君が代役をやってくれて、本役でいけると」と説明。自身のルフィは４月２日を除いて“夜の部限定”となるが、「僕はあまり動けないから、展示された国宝の仏像を見に行くような感じでいてほしい。動くルフィが見たかったら、（右近の）昼にどうぞ」と冗談まじりにアピールした。

　患部は現在もリハビリ中。「完治にはまだまだ。普通の人は入院していてもおかしくないと言われるけど、命に関わることじゃないから。お医者さんからも動いていいと言われている」と状況を明かした。痛みはなく、神経の感覚は徐々に回復しているという。「指先が動かなかったけど、お金を数えようとしたら動いた。必要なことをしようとすると動く」と笑顔を見せた。

　昨年の休演中に同作を２回、鑑賞したという。「一番うれしいのは、僕がいようがいまいが、お客さんが劇場に足を運んでくれたこと」と感謝した。１月は高麗屋の３代襲名披露に合わせ、当初予定された一部の演目のみでの“強行復帰”だった。座長としてのカムバック。恐怖心は「ない」と言い切る猿之助は、「『ワンピース』でけがしたら、（完全）復帰は『ワンピース』にしないと話題にならない。役者は話題にしないと」と矜持（きょうじ）を示した。