吉川晃司「沈黙の侍」演じる セリフほぼなし…17年ぶり主演作で異色の役柄

 歌手で俳優の吉川晃司(52)が7月放送開始予定のWOWOWドラマ「黒書院の六兵衛」で17年ぶりに主演を務めることが25日、分かった。吉川はしゃべらない武士を演じ、実際にセリフがほぼない異例の役柄。撮影中に取材に応じた吉川は「動きも最低限。辛抱と受け身の極みをやる。大きな賭け」と役作りの困難さを吐露しつつ、「武士とは何たるやを貫けるように」と静かに語った。

 1984年のデビュー以来、エッジの効いた歌声と低音ボイスのトークで魅了してきた吉川。17年ぶりの主演作では、“ほぼセリフなし”という異色の難役だ。

 作家・浅田次郎氏の同名時代小説をドラマ化し、江戸城無血開城の際、自分の信義を貫き一切口をきかず、城内に居座った将軍直属の御書院番士・的矢六兵衛を演じる。関係者によると、吉川のセリフは最終話でわずかに用意されるのみという。

 運命的なオファーだった。吉川は、のどのポリープの治療のため、今年1月のライブを最後に、来年2月のライブまで歌唱活動を控えている。しかし、ドラマの出演依頼は昨年。のどのポリープを公表する前だった。吉川も「このタイミングでこういう仕事が来るってことはピンポイントで出会いと思った」と驚く。

 セリフがない分、動きで武士道を表現する。毎日、数時間に及ぶ稽古で、850年の歴史を持つ「小笠原流」の弓馬術や歩き方などの所作を会得した。流鏑馬(やぶさめ)のシーンも披露する。「綺麗に見えなくてはいけませんから。芝居で顔を作っちゃったりしたらアウト。武士道の熱量を伝えるときに、小手先の芝居でやったら台無し」と覚悟を示した。

 近年はNHK大河「八重の桜」(13年)、TBS「下町ロケット」(15年)など、役者業でもおなじみだが、主演は久々。それでも「あんまり関係ない。そんなにしてなかったのかという感じ。それどころじゃなくて。流鏑馬(の練習)にもってかれています」と笑った。

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