日テレ社長、安倍首相の放送事業見直しにけん制 報道が事実なら「強く反対」
日本テレビが26日、都内の同局で定例社長会見を開いた。安倍晋三首相が表明している放送事業の見直しについて大久保好男社長が質問に答えた。新聞、通信社などの各メディアが放送法の一部撤廃を含む改革案を政府の規制改革推進会議が検討していると報じていることについて、「このような議論が本当だとしたら、私は容認できない」と強く反論した。
大久保社長は自身で1次情報を得ておらず、報道などを通じて知った話と前置きをした上で、報じられている規制改革推進会議による検討案について「新聞紙面等で伝えられているものがその通りであるとしたら、民放事業者が不要だと言っているのに等しいので、私たちとしてはとても容認できない。強く反対したいと思います」と述べた。
放送法は第4条で「公安及び善良な風俗を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」といった点や、視覚や聴覚の障害者にも配慮した放送をすることなどを定めている。この4条をどう扱うかが焦点になっていると多くのメディアが報じている。
仮に「政治的に公平であること」を守らなくてよくなるとすれば極端に親政権、あるいは反政権の報道を行う放送局が出る可能性もある。また、公共性の高い文字放送などが文言から削除されれば、新規参入者との競争の中で高コストな事業として整理の対象となる可能性も考えられる。
大久保社長はこの日の会見では安倍首相は「ご自身の言葉で明確にしている段階ではない」とし、推移を見守るとしている。ただ、いわゆる「放送と通信の融合」が進み、ネット上で現在も見られるコンテンツが「放送」として流入されるような事態になった場合、「放送が果たしてきた公共的・社会的役割、通信との違いについての考慮がされていない」と指摘。「影響力の大きい放送に、何の規制もないネットと同様のコンテンツが流れた場合の社会的影響の大きさを考えると、放送事業としては間違った方向の政策ではないかと思わざるをえない」と強い懸念を示した。
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