佐川前長官 証人喚問で56回も証言拒否!でも首相夫妻の関与はきっぱり否定
衆院予算委員会は27日午後、学校法人「森友学園」に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を実施した。佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」と何度も発言するなど、56回も証言拒否。改ざんの経緯や動機、指示系統など核心部分の解明は進まなかった。財務省理財局長を務めていた昨年、学園との交渉記録を廃棄したと答弁したことに関し、ずさんだったと認め陳謝した。
誰の指示で決裁文書の改ざんが行われたのか-。「答弁を差し控えたい」。証人喚問の冒頭で佐川氏が証言を拒否すると議場からは「ええっ」とどよめきが起こった。政治家の関与については「官邸からの指示はない」と断言。衆参合わせて260分、かたくなな姿勢は変わらず“官僚答弁”に終始した。
朝、参院予算委員会の議場に現れた佐川氏は、「良心に従って真実を述べ」と宣誓書を読んだ。緊張を隠せずそわそわしていたが、次第に落ち着きを取り戻し、答弁でも財務省関係者が「精神力がすごい」と驚くほど淡々。改ざんの経緯について「お答えできない」を連発し、午後の衆院予算委と合わせると、答弁拒否は56回に上った。
改ざん前文書の昭恵氏に関する記述の確認も証言を拒んだ。「どういう経緯で誰が指示したか答えていないので(真相は)明らかになっていない。それはまさに裁判、司法(の判断)だ」と述べた。
国有地の貸し付けや売買を巡る学園との契約に首相や夫人の影響はなかったとした自らの証言に関し、関係する財務省職員の「一人一人全員には確認していない」と説明。首相らへの忖度(そんたく)の有無は「個々の内面の話で、言うことはできない」と明言を避けた。
野党は「疑惑は深まる一方だ」「ゼロ回答だ」とやじを浴びせた。「何を聞いても答えない。これでは証人喚問の意味がない」と抗議を受け、議事は何度も中断した。
一方で、安倍晋三首相や昭恵夫人、官邸からの指示がなかったかについて、佐川氏はきっぱりと「ございませんでした」と言い切った。「当時の担当局長として責任はひとえに私にあります」と頭を下げて謝罪した場面もあった。
森友学園側との面会記録を「廃棄した」とした昨年2月の答弁は虚偽ではないかと問われると、「申し訳ありません。(保存期間が1年未満という)文書管理規則の取り扱いを確認し答弁していた」と弁解。「虚偽と認めるのか」と猛反発する野党議員に「虚偽という認識はない」と答え、議場は騒然となった。
午前の質疑でほとんど進展がなかったためか、午後は与党の質問時間に居眠りする議員の姿もいた。