BRAHMAN・TOSHI-LOW語る(2)初の日本武道館公演

 4人組ロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」が今年2月、5年ぶりのフルアルバム「梵唄-bonbai」をリリースし、3月から約3カ月間の全国ツアーを行っている。アルバム発売2日後に行われた初の日本武道館単独公演について、ボーカルのTOSHI-LOWが語るインタビュー(2)。

  ◇  ◇

 -2月9日、初めて日本武道館で単独公演を行いました。

 「武道館を目指してた世代じゃないし、それこそ武道館でできると思って結成したわけでもないので。逆に『何が武道館だよ』ってもともと思ってたし。

 ただ、やるにあたって『自分だったらこうするのになあ』って思ってたところを全部やって、そして武道館を経験した中で、『あ、武道館やるってこういうことなんだ』っていう、心の中のくさびみたいなものが今しっかり刺さっていて。1個の大きな経験っていうか。人によってはそれが例えばフジロックに出るとか、大きな転機になるような何かイベントごとになってるんだと思います。

 やって良かったなっていうことしかないし。他のバンドマンとかでも俺と同じように、いや俺たちなんかいいよ武道館とかって思ってる人たちに会うと、やっぱやってみた方がいいよって勧めたくなるっていうか」

 -近年、怒髪天、コレクターズ、フラワーカンパニーズなど、長いキャリアのバンドが初めての武道館をやるケースが多いです。

 「武道館を埋めるのって、デビューして人気あって旬な時にやれば簡単なことだと思うんですけど、それこそただの器になっちゃうので。ストーリーっていうか、武道館がある意味とか、あの形であるものを感じつつ、自分たちにストーリーが合致する時にやるとより、やらしてもらってホントに良かったなっていう形になるんじゃないかな」

 -あえて今まで武道館でやらなかった。

 「はい。したいとも思わなかったし、武道館を見に行って、途中で飽きちゃうんですよね、他のアーティスト見てて。もちろんそんなアーティストばっかじゃないけど、あるアーティスト見た時にすごい飽きて、前に人いなかったんで、椅子に足乗っけて、こんなになって(反っくり返って)天井見てたんですよ。

 上におっきい日の丸あるじゃないですか。おっきい日の丸見て、天井に光がすごい当たってて反射して、ああ、きれいだなって。自分だったら、自分が使うんだったら天井使いたいなあと思って。そもそも俺が感じてた違和感ってなんだろう?って思ってたのは、あれ(武道館)八角形なんですけど、だいたい北側に控室があって、北側ブロックつぶして南側の人たちでこうやって見るんですけど、それがイヤだったんですね。本来の建物の形じゃなくて、なんでこんな不細工な武道館なんだろう?って、やっぱ思ってたところがあって」

 -それが武道館公演での八角形ステージ(※BRAHMANは2013~14年にも八角形ステージを使用)につながった。

 「闘技場みたいな形に、やっぱりなったんですよ。本来の形にしてみたかった」

 -「梵唄」にはキックボクシングやボクシングに関わる曲も入っていて、武道館とのつながりも感じます。

 「そうですね。武道館を見に来てた格闘家も多かったんですけど、すげえ『明日から頑張ります』ってみんな帰ってったんですけど。何かあるんでしょうね。『ロッキー』のテーマ聞くとみんなやる気出るじゃないですか、俺はキック(ボクシング)から入ったんで、キック好きでよく見てました」

 -キックボクシングのイベント「KNOCK OUT」のテーマソング「守破離」も入っています。これを作ったきっかけは。

 「小野寺力(往年の名キックボクサー。KNOCK OUTプロデューサー)ってジム一緒だったんで、言われた時はどうしようかなと思って。でもやって良かったです」

 -格闘技のテーマ曲としても素晴らしいと思いました。

 「良かった。難しいですよね、ホントに。(選手の)やる気出したいけど、自分たちらしくもありたいしみたいな。それでSLANG(のKO。ボーカル担当)を入れてやって。自分に足りないものを人に補ってもらうっていうのも、自分たちだけで意地張ってやってきたんですけど、いいことだなって。いいものを作るためにはって思って」

 -武道館を経験したことで影響は。

 「あると思います。何か、おっきな経験をしたっていう。それは自信とかとはまた別なのかもしれないですけど、何て言えばいいんですかね?通るべき過程を通った。でも、やって良かったなとすごく思うんですよね。俺は心のくさびって言い方が一番近いって思っているんですけど。今までだったらもしかしたら揺れてしまうようなことが、あの経験をしたことで揺れなくなる、どっしりできるんじゃないかみたいな。フルマラソン出たことあるんですけど、すごくつらいんですけど、やって良かったなっていう。42・195キロ走れた後とその前の人生って、全然違うんですよね。そういうものに近いというか。前後で見える風景が違くなるんだなって。それがたぶん、同じ人数で違う場所でも、今まで踏んだことあるわけなんですよ。なのにそうじゃないんですよね」

      (続く)

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