藤井六段 高校生初星「白星スタートできて良かった」進学後初の公式戦飾った
最年少棋士の藤井聡太六段(15)が5日、大阪市の関西将棋会館で行われた棋王戦予選2回戦で古森悠太四段(22)を145手で下し、同準決勝への進出を決めた。3月には中学校を卒業しており、“高校生棋士”としてのデビュー戦を白星で飾った。18年度最初の対局での勝利に「新年度で、なんとか白星スタートができて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
“高校生棋士”としてさい先の良いスタートを切った。
古森四段とは2度目の手合わせで、藤井六段が「持ち帰りきれないほど」のチョコを受け取った今年2月のバレンタインデー以来の対局。この日は、先手の藤井六段が得意とする角交換を挑み、古森四段は振り飛車で臨んだ。終盤まで接戦が続いたが、最終盤では藤井六段が圧倒。「時間の切迫の中でミスが出てしまったところもあったが、なんとか最後は攻め合いを制することができた」と振り返った。
進学した名古屋大学教育学部付属高校では7日に入学式を迎えるが、この日が高校生として初めての公式戦となった。高校生棋士としての“デビュー戦”だが、「対局に臨むにあたっては普段通りの気持ち」と平常心を貫いた。
中学生として最後となった先月末の対局で逆転負けを喫していただけに、最後は勝ちへの執念を見せる圧倒的な差し回しで快勝。「新年度で、なんとか白星スタートができて良かったかなと思います」と胸をなで下ろした。
昨年度はデビューから無敗で、歴代最多となる29連勝を達成。社会現象を巻き起こした。2日に発表された、年度を通じて活躍した棋士を表彰する「将棋大賞」では「勝数」などの記録4部門に加え、特別賞、新人賞、名局賞特別賞も受賞し、“七冠”となっていた。
今後は「タイトル」など、これまで以上の挑戦も見えてくる。本年度の目標を問われると、「まずはしっかり実力をつけて、各棋戦で上位を目指したいと思います」。「天才中学生」と呼ばれた藤井六段が高校生としての第一歩を踏み出した。