「おもひでぽろぽろ」の本名陽子、高畑勲監督の死に「込み上げてきて、ダメです」

高畑勲氏
スタジオジブリ=東京都小金井市
東京アニメアワードフェスティバル2014で、特別賞「アニメドール」のトロフィーを手にする高畑勲さん(左)=共同
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 5日に肺がんのため82歳で亡くなった世界的なアニメ映画監督、高畑勲さんの訃報を受けて、高畑作品「おもひでぽろぽろ」(1991年)でヒロインの少女時代を演じた声優の本名陽子が6日、公式ブログで「右も左もわからなかったわたしに優しく声をかけてくださった」などと、高畑さんの“おもひで”を振り返っている。

 本名は「おもひでぽろぽろ」と題した投稿を、「誰しも必ず別れがあると知りながら、まさかこんな日が訪れるなんて…と心の整理がつかず、いつになく沈んだ朝を過ごしています」と、高畑さんの訃報を受けた心境から書き出している。

 「わたしと高畑勲さんとの出会いは、『おもひでぽろぽろ』でした。中学1年だったわたしが、正式に声のお仕事を始めるきっかけとなった作品です。右も左もわからなかったわたしに優しく声をかけてくださったのを今も覚えています。しかしいざ収録となると、なかなか厳しいのです。容赦ない。その感じがわたしは大好きでした」と、デビュー作となった「おもひでぽろぽろ」での出会いを回想。

 「2008年11月。わたしは赤坂レッドシアターで舞台に立っていました。高畑さんのお好きなフランス文学を題材にしていたこともあり、僭越ながらご招待状をお出ししたところ、なんとメールで『行かせていただきます』とのお返事が。お一人で劇場まで観に来てくださいました。うれしさと恥ずかしさとで、終演後お会いしたときには全く会話ができず、なんとか御礼だけをお伝えしたのが昨日のことのようです」と、舞台を観劇してくれた思い出をつづった。

 最後に会ったのは2016年。「一昨年、ジブリを訪れた際に、たまたまいらした高畑さんとお会いしたのが、最後となってしまいました。娘を連れていったのですが、とても喜んでくださり、抱っこまでしてくれました。その娘が今や、毎日のように『かぐや姫の物語』を見て、劇中の歌をいつも口ずさむまでに成長しました」と、今生の別れとなった日を振り返った。

 「毎年の年賀状、結婚のときに頂いた言葉、メールなど、ひとつひとつが忘れがたく、胸に焼き付いています。語りたいことは山ほどありますが、込み上げてきて、ダメです」と、悲痛な思いを吐露。

 「わたしは、高畑さんの作品の、女性の描き方が特に好きでした。The Roseの訳詞『愛は花、君はその種子』が好きでした。もっともっと学びたかった。いろいろお聞きしたかった。心よりご冥福をお祈りいたします」と、敬愛の情と共に高畑さんを悼んでいる。

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