八方 師匠・可朝さんの仰天エピソード語る「してはいけないことをする人」
3月28日に急性肺線維症のため80歳で亡くなった落語家・月亭可朝さんの「お別れの会」が24日、大阪・福島の八聖亭で開かれた。弟子の月亭八方(70)、弟弟子の桂米團治(59)、立川談春(51)、桂文珍(69)、オール巨人(66)ら約70人が出席。一流の落語の腕を持ちながら、数々の騒動も起こした可朝さんの思い出は尽きず、八方は「師匠としては50点。してはいけないことをする人でした」と笑わせ、破天荒だった師をにぎやかに送った。
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会場が開くと同時に雨が降り出し、エレベーターが点検で使えなくなるドタバタも、これまた可朝さんのイタズラか。大ヒットした「嘆きのボイン」が流れ、祭壇にはカンカン帽姿の可朝さんの高座写真が飾られた。
出席者が献花を終えた後、八方は「こんなに多くのカメラに囲まれたのはストーカー(騒動)の時以来で、師匠も照れていると思います」と笑わせた。
「ハチャメチャが横山やすしさんなら、破天荒は月亭可朝。『こんなヤツ、他におらん』と言われるのが大好きな人でした」。弟子入りしたのは、可朝さんが座布団の上に寝転がって舞台を演じている姿に衝撃を受けたからだったと明かした。
八方の初舞台が決まった際は、可朝さんが「初舞台は結果問われるぞ」と言い「これから10日、俺が舞台でやるから覚えろ」とウケをとりやすい演目を叩き込んでくれたという。「誰でもネタは飛ぶけど大声出し続けろ」と教えられたという。
言動は自由奔放で、空港の荷物のベルトコンベアに乗って回ったり、桂米朝さんの落語会でパンツ一丁で走ったり。八方は「ここだけは絶対アカンいう時に、してはいけないことをする人でした」となつかしんだ。
トラブルも起こした可朝さん。「本人は全く懲りてません。僕も好きな時と嫌いな時が交互で、平らにしたら50点くらいの師匠でした」と笑いつつ「芸能界で生き抜くため一番大事なことを教えてくれた、すごい人。幸せな人生だったと思います」と悼んだ。
立川談春は「すばらしい技術を持った落語家。そのままやるのは照れくさかったようですが、(師匠)談志にないものを補ってくださる、とても尊い師匠でした」としのんだ。