アニメに寄せすぎは禁物!提供歌手のこだわり 佐伯ユウスケと「弱ペダ」
アニメソングとは何か?かつては必殺技やメーンキャラクター名を叫び、連呼しているものが王道だったが、有名バンドのタイアップが人気となり、最近は声優がアーティストとして歌うのも当たり前になった。そんな中で、多くの楽曲を他のアーティストに提供するようなシンガー・ソングライターが担当する場合はどんな思いを抱えているのか。自転車競技部の青春アニメ「弱虫ペダル GLORY LINE」の第2期オープニングテーマ「ダンシング」を5月9日にリリースする佐伯ユウスケに、アーティストから見たアニメソングの今を聞いた。
-アニメソングの作り手として、弱虫ペダルの楽曲を担当する上で何を意識していますか。
「“狭い線”を毎回狙わないといけないというのが、今のアニソンをやらせてもらう責任だと思っています。前の作品も、そのころ思っていた佐伯ユウスケと弱虫ペダルの間をねらってピッチングしていく(曲づくりする)のを大事にしていました」
-アニメの世界観を大事にし過ぎてもいけないですか。
「それだと、『(歌をつくるのが)自分じゃなくてもいいじゃない』と思っちゃいますよね。今、声優さんが普通に歌う時代ですし。自分が歌わせてもらうならそこのバランスは取らないといけないなと思いますね」
-何が自分らしさと思いますか。
「10年ぐらい音楽の仕事をさせてもらっていますけど、自分の個性を具現化することを常々考えていますが、その時々で変わるなと思っています。何が自分らしさかを決めるのはお客さんかなと思っています」
-作品に寄せすぎないためにはどうしたらいいか。
「作品によって多分、変わるのかなと。僕は幸い、前まで築き上げられていた(他のアーティストが作曲してきた)弱虫ペダルのサウンドができ上がっていたので。毎回プロデューサーさんが出されるポイントの通りにやれば寄るのかなと。歌詞も自転車の世界だけに聞こえてしまうと寄っちゃうのかなと。僕は歌詞に関しても作品を知らない人が聞いてもイメージがわくようにしたいなと思いますので」
-初めて「弱虫ペダル」のエンディングテーマになった「ナウオアネバー」はMVに自転車が出てきました。
「あの時は割と自分ナイズしてつくったつもりだったんですけど(苦笑)。意外にファンの方からはあのぐらいのテンポ、広い感じのテンポ感は珍しかったらしいです」
-「ダンシング」はリズム重視な感じになった。
「2作品(「ナウオアネバー」、「タカイトコロ」)でやってこなかったことをやりたくて」
-アニソン感はなくなった印象でした。
「ボカロっぽいって言われました(笑)」
-アニメに楽曲を提供する立場として、どんなことに挑んでいきたいか。
「自分とアニメのバランスがとれたところで最強にうまい人になりたい。大石さん(大石昌良、アニメ「けものフレンズ」のオープニング曲「ようこそジャパリパークへ」を作詞・作曲・編曲した)は、めちゃくちゃ自分を出していますよね。ご本人が歌っても違和感がない。大石さんはいちミュージシャンとして嫉妬しちゃうぐらいセンスがすごいなと思います」
-世界観のあるアーティストになりたいですか。
「アニメがこっちに寄ってくるぐらいになれたらうれしいですね」