最後まで「スター・西城秀樹」だった 麻痺残る体でステージで歌いきった
16日に急性心不全のため63歳で死去した歌手の西城秀樹さんは、「ありのままを見せたい」と麻痺が残る体でステージに立ち続けた。その姿はファンのみならず、芸能界の仲間にも多くの感動をもたらしていた。また西城さんとともに「新御三家」として切磋琢磨(せっさたくま)した郷ひろみ(62)、野口五郎(62)は、ショックの深さをうかがわせた。
西城さんは2003年に、脳梗塞を発症した。サウナでの無理な減量が裏目に出た。退院後は脳梗塞をテーマにした講演に取り組み、自身の経験を発信したが、11年に再び脳梗塞に見舞われた。患部が運動神経に近かったため、右半身のマヒと歩行時にバランスを失うなどの機能障害が残った。
退院後は家族のサポートを受けながらリハビリに精を出し、週に5日はストレッチやプールでのウオーキングをして回復に努めた。「ありのままを見せたい」と麻痺が残る体でステージに立ち続けた。
一度目に発病した際は、ろれつが回らなくなるなど、声を命とする歌手としては、絶望を意味する事態に、「引退」の2文字が頭をよぎった。しかし、ほどなく子供が誕生。「この子のために生きなきゃ」と再起を期した。
最後のステージとなった、4月14日の「同窓会コンサート」に出演した歌手で女優のあべ静江(66)はデイリースポーツの取材に応じ、当時を「非常にお元気で、これからどんどん良くなっていくんだと思っていた」と振り返った。
西城さんは5日後の4月19日、都内で行われた「第23回日本歌手協会 紅白歌合戦」に観客として来場。あべはそこでも対面し「『気持ちのいい日だから、リハビリのつもりで来た』って話していた。本当にお元気だったのに」と述懐した。
あべは2~3年前に滋賀県内で一緒にディナーショーを行ったことを思い返し、「すごく柔らかい笑顔を浮かべられていた」と明かした。