最年少棋士の藤井聡太六段（１５）が１８日、大阪市の関西将棋会館で行われた竜王戦ランキング戦５組準決勝で船江恒平六段（３１）を７２手で破り、同日付で七段に昇段した。これまで加藤一二三九段（７８）が持っていた１７歳３カ月の記録を大幅に上回り、１５歳９カ月で達成した。対局後は「すぐに５組の決勝があるので喜びに浸るより、決勝に向け気を引き締めたい」。本戦入りをかけた５組決勝は来月５日に行われる。

　記録を大幅に更新し、新たな金字塔を打ち立てた。将棋の世界では七段に達したあたりから「高段者」とされており、デビューからわずか１年７カ月で到達したことになる。藤井七段は「ここまで早いペースで昇段できると思っていなかった」と話し、「目の前の一局一局に全力で打ち込んできたことが昇段という形で表れ、うれしく思います」と喜びをかみしめた。

　報道陣が２２社５０人も詰めかけた注目の一戦。藤井七段は、相手の投了に、深々と頭を下げた。６１年ぶりに加藤九段の持つ最年少七段昇段記録を更新。しかし、藤井七段はいつもと変わらず落ち着いた様子だった。加藤九段は「わたしと同じ１８歳でＡ級八段になれば肩を並べられたと思うだろう」と対抗心を燃やしつつ祝福した。

　段位の上では、師匠の杉本昌隆七段（４９）と肩を並べた。藤井七段は「師匠と同じと言われても実感が湧かない」としながらも、「段位の上では並ぶことができた。感慨深い」と語った。

　２月１日に五段、同１７日に六段になったばかりで、驚異的なスピードでの昇段。快進撃を続ける藤井七段は、「現実に（タイトル）挑戦というところまでは意識していない。少しでも上に行けるように頑張りたい」。七段昇段で決意を新たにさらなる高みを目指す。