１６日に急性心不全のために亡くなった歌手の西城秀樹（本名木本龍雄＝きもと・たつお）さん（享年６３）の葬儀・告別式が２６日、東京・青山葬儀所で営まれた。郷ひろみ（６２）、野口五郎（６２）ら仕事仲間や関係者、ファン合わせて１万人以上が参列。献花するファンの列は約１キロにまで伸びた。出棺時にはファン、関係者が一体となって代表曲「ＹＯＵＮＧ　ＭＡＮ（Ｙ．Ｍ．Ｃ．Ａ．）」の大合唱で、天国へと送り出した。

　病に倒れても歌い続けた不屈のスターが、“最後のアンコール”に応えた。「イェーイ、イェーイ、行くぞー！！分かっとるな！？クラップ、ユア、ハンズ（手拍子を）」－。出棺直前、ファンから起きた「ヒ・デ・キ」コールに呼応するように、西城さんのライブ音源の音声が斎場に響き渡った。

　続いて流れ始めたのは、代名詞である「ＹＯＵＮＧ　ＭＡＮ」。西城さんの歌声と、涙するファンの大合唱が重なり合った。鈴なりの“観客”はペンライトやタオルを振り、おなじみの振り付けをそろえ、ラストステージのクライマックスを共有した。

　ファンは式が始まる７時間以上前の午前３時半ごろから集まり、一時は行列が約１キロ離れた東京メトロ・青山一丁目駅にまで達した。斎場前にあるファミリーレストランの外階段にも人だかり。付近の道路には混乱を防ぐために警察車両も配備された。

　真っ赤なステージ衣装の西城さんが眠るひつぎには、家族写真と手紙、次男からプレゼントされた帽子、ゴルフのグローブなどが納められた。

　妻・木本美紀さんは喪主あいさつで、「温かいお心に見送られ、秀樹さんも喜んでいると存じます。倒れました先月２５日まで、５０周年を目指しハードなリハビリに励むことができましたのも、ファンの皆さまのおかげ。どうか秀樹さんを忘れないでいてください」と声を震わせ、子供たちは涙を流し聞き入った。

　雨男を自認していた西城さんだったが、最後まで涙雨は降らず。代表曲「ブルースカイブルー」に乗せて、太陽がのぞく薄曇りの空へと旅立った。