TBSラジオに吉兆?若者層リスナー増えた ナイター中継撤退効果か
TBSが30日、都内の同局で定例の社長会見を開いた。同席したTBSラジオの入江清彦社長は、2カ月に1度行われる今年4月の聴取率調査で、M1、F1層と呼ばれる20歳から34歳までの男女で首都圏の聴取率1位となったと明かした。これは「我々も驚いております。歴史に残っていない」(入江社長)と舌を巻くほどの、同局にとっては快挙と言える。
TBSラジオは、1998年に始まった夜の帯番組「アクセス」で時事問題を扱うようになった頃から、比較的高い年齢層にターゲットを絞り、それとともに2001年8月から101期連続で聴取率1位を守り続けてきた。一方で、ラジオ業界の未来を支えてくれるはずの若者層が、ラジオから離れてしまうというジレンマも抱えていた。
M1、F1層の聴取率上昇の要因に、プロ野球中継から撤退し、平日午後6時から9時にヒップホップグループのライムスターのMC、宇多丸がパーソナリティーを務める帯番組「アフター6ジャンクション」を4月から放送を開始したことが「象徴的」だったこととして上げられ、20代、30代の男性、30代の女性に人気だったことがこの年齢層の数字を押し上げたという。同番組は音楽、映画、ゲームなどを中心にメーンカルチャー、サブカルチャーを問わず様々なジャンルの情報を取り扱っている。
聴取率調査のサンプルが1回分しかないこともあり、入江社長は「どれだけ新規リスナーがあり、あるいはどれだけ流出したのか分析できておりませんが」と慎重だったが、業界全体を見たおおむねの所感として、「例年4月と比べると、(野球中継をやめた)TBSも、ナイター中継をしている局も、(ラジオ全体の聴取率を示す)セッツインユースも伸びた。ラジオ全体で意義深い」とラジオリスナーに選択肢を提供するために、ナイター中継から撤退し、新番組を編成したことに一定の効果があったとした。
18年4月期のセッツインユースは、2月期と同じ5・2%と低迷している。今後のことを考えると、TBSのリスナー層の変革は業界全体で見て、明るい兆しの一つと言える。(聴取率はビデオリサーチ社調べ、首都圏のもの)