いか八朗さん死去 映画「テルマエ・ロマエ」老人役 たこ八郎さんから芸名
映画「テルマエ・ロマエ」シリーズで入浴中の老人を演じていた俳優のいか八朗(いか・はちろう=本名近藤角吾=こんどう・かくご)さんが28日午前10時3分、関東近郊の病院で、老衰のため亡くなった。84歳。
通夜は6月2日午後6時、お別れ会は同3日正午から、東京都練馬区小竹町1-61-1の江古田斎場(唯心堂)で営まれる。喪主は所属事務所「Eja9(いいじゃナイン)」の代表・山田大策氏(38)。
山田氏によると、いかさんは4月上旬に肺炎を患い、入院していた。山田氏は5月22日にいかさんが病院を移る際に同行したが、会話はもうできない状態だった。家族はおらず、ひっそりと亡くなったという。
昨年8月に映画祭用の自主映画に出演したのが最後の仕事だった。当時は「まだまだやれるぞ」と話していたという。一般向けでは、今年の「沖縄国際映画祭」で上映された映画「空からの花火」が最後の作品。花火職人のおじいちゃん役だった。
いかさんは、若かりしごろは本名の「近藤角吾」で作曲家、ミュージシャンとして活動。ステージで歌っているうちに次第に漫談や演技も行うようになった。1985年に亡くなったコメディアンで俳優のたこ八郎さんとの関係について「たこさんがすごく売れている時期に、日本と香港でダブルブッキングがあり、自分がたこ八郎として香港で撮影に臨んでばれなかった。その後たこさんに『いか八朗』って名乗っていいでしょうか、と頼み込んで名乗らせてもらった」と山田氏に話していたという。
「テルマエ-」以外にも味のある脇役として活躍しており、13年のフジテレビ系ドラマ「独身貴族」に出演した際には、現場で主演の草なぎ剛(43)に「頑張って売れろよ」と語りかけ、爆笑を誘ったことも。16年には「いい部屋ネット」のCMに出演し、桜井日奈子(21)や鈴木福(13)と共にダンスを披露していた。「役者は売れなきゃ意味が無い」が口ぐせで、若い俳優の面倒見が良く、周囲から慕われていた。