「男はつらいよ」の山田洋次監督 「ホームドラマをバカにしていた」と告白
「男はつらいよ」シリーズなどで知られる日本映画の巨匠、山田洋次監督(86)が2日放送のTBS系「サワコの朝」で、松竹の大先輩で世界的な巨匠の小津安二郎監督作品に「なんだそんなもの」と猛反発していたことを打ち明けた。
「男はつらいよ」から近作の「家族はつらいよ」シリーズに至るまで「家族の物語を一貫してお作りになっていた」(司会の作家・阿川佐和子氏)山田監督だが「若い時はホームドラマなんてバカにしてました」と告白。
「僕は松竹の大船撮影所で育ったんだけども、なんたってそのマエストロが小津安二郎でしょ。家族の物語、娘が嫁に行くなんて、そんな話を延々と撮っててね。『なんだそんなもの』と思ってましたからね。あの頃、若い映画人はみんなそう思ってましたよ。非常に保守的な映画だと。やっぱりイタリアンネオリアリスモとかね、そういう映画じゃなきゃダメだ、あるいは黒澤明じゃなきゃダメだと思ってましたからね」と、小津監督に代表される松竹のホームドラマ重視の社風に反発していたという。
そんな山田監督だったが、監督昇進のため会社に提出する脚本を書いている時、先輩の監督から「君ね、どんな脚本を書いてもいいんだけど、根の所に家族関係をちゃんと置いとけよ。そうすると脚本が落ち着くんだよ」とアドバイスされた。
「それが非常に僕の中に残っていますね。イカリが岩をかむように落ち着くんだっていうね。映画の一番基本的なフレームっていうかな、骨格っていうかな、それが親子や家族、夫婦、兄弟ということで、ある基調があるということですね」と、今に至るまでホームドラマを作り続ける契機になったという。