劇団四季創設メンバーの照明家…盟友・吉井澄雄氏「茫然とするのみ」
劇団四季の創設メンバーで、「キャッツ」「ラインオンキング」などを手がけた演出家・浅利慶太さんが、悪性リンパ腫のため13日午後5時33分、東京都港区の病院で死去したことが18日、分かった。85歳だった。浅利氏の事務所と劇団四季が連名ファクスで発表した。
53年に浅利さんとともに劇団四季を創設したメンバーの一人、照明家の吉井澄雄氏は、劇団を通じ、感謝と惜別の思いを明かした。
「浅利慶太は劇団四季創立65周年の前日に彼岸へ旅立った。65年を超える無二の盟友を失い茫然とするのみである。1955年『演劇の回復のために』をひっさげ既成新劇に挑戦。リアリズムの対極にある、古典的で端正な美しい舞台と、知的で明晰な台詞による演技術を創出し時代を画した。舞台のみで生活できる条件をつくり、劇団四季独自の稽古場や劇場群を建設する一方、日生劇場の設立や新国立劇場建設への功績も無視できない。政財界にもまたがる巨大な交友録は、彼の稀有な出会いの才能と人間力によるもので、演劇界に巾広い視界をもたらした。彼が私に『演劇の扉』を開いてくれなかったら今日の私は存在しない。心からの感謝と共に冥福を祈る」