オウム残り6人 死刑執行 松本智津夫元死刑囚ら7人に続き13人全員の執行終了
地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による事件に関わったとして、殺人などの罪に問われ、死刑が確定した教団元幹部ら6人の刑が26日午前、執行された。法務省が発表した。上川陽子法相が2日前の24日に命じた。
松本智津夫元死刑囚=執行時(63)、教祖名麻原彰晃=を含む7人の刑は6日に執行されており、教団による一連の事件で死刑が確定した13人全員の執行が終わった。平成の時代を代表する未曽有の凶行となった事件は、大きな節目を迎えた。
6人は、林(現姓小池)泰男(60)=仙台拘置支所、豊田亨(50)、広瀬健一(54)、端本悟(51)=いずれも東京拘置所、岡崎(現姓宮前)一明(57)、横山真人(54)=いずれも名古屋拘置所=の各死刑囚。
上川法相は臨時記者会見で「慎重な検討を重ねた上で執行を命令した」と述べた。
6日執行の7人は、26日執行の6人より教団内の地位が高かった。法務省はこうした事情を考慮し、執行順を決めたもようだ。
確定判決によると、首謀者の松本元死刑囚とそれぞれ共謀。林、豊田、広瀬、横山の各死刑囚は95年3月に地下鉄サリン事件を、林、端本両死刑囚は94年6月に松本サリン事件を、端本、岡崎両死刑囚は89年11月に坂本堤弁護士=当時(33)=一家3人殺害事件をそれぞれ起こすなどした。
教団による一連の事件の裁判は今年1月に全て終結。死刑が確定した13人は全員東京拘置所に収容されていたが、同3月に林死刑囚ら7人が、各地の拘置所に移送されていた。
教団は、公証役場事務長監禁致死事件などを含め13事件を起こしたと認定され、いずれも松本元死刑囚が首謀者とされた。判決で認定された死者は計27人。起訴後の死亡者などを含めた犠牲者は29人に上り、国は6500人以上の被害者を確認している。
オウム真理教が引き起こした事件の遺族らは26日、死刑囚13人全員の執行を受けて、悔しさや心に残る思いを語った。
殺害された坂本堤弁護士の妻都子さん=当時(29)の母大山やいさん(84)は「一家3人がオウムに殺されたことは忘れようと思っても忘れられない。もう長い時間がたち、こうした事件があったことを知らない世代も多いと思うが、忘れないでほしい」と涙を流した。
1995年5月の東京都庁小包爆弾事件で、重傷を負った元都職員内海正彰さん(67)は「法律にのっとって刑が確定した。当然のことだ。全員許すことはできない。被害者にとって執行が何かの区切りとなることはない」とも話した。