吉永小百合 戦争の悲惨さ訴え続ける「戦後が未来まで続くように-」
女優の吉永小百合(73)が10日、都内で行われた「第7回新藤兼人平和映画祭」で、トークショーを行った。
若者らが中心となり戦争と平和を語り継ぐことを目的としている映画祭。終戦から73年となる15日の終戦記念日を前に、吉永は「この戦後が未来まで続くようにみんなで(平和を)作って行きましょう」と呼びかけ、これからも映画人として戦争の悲惨さを語り継ぐ決意を語った。
終戦直前の1945年3月に生まれた吉永は、「戦争と人間」(71年)、「北の桜守」(18年)など多くの映画で、戦争に人生を翻弄(ほんろう)された女性を演じてきた。
68年の映画「あゝひめゆりの塔」では、沖縄に散った“ひめゆり学徒隊”の女生徒役。国内で唯一、地上戦が繰り広げられた沖縄での撮影だった。吉永は「今でも沖縄は私にとって、遊びに行けない場所」と語り、「沖縄の方の犠牲があり、何不自由なく生活できている。彼らの痛みを理解しなくてはならない」と訴えた。
映画に出演するかたわら、原爆詩の朗読など、戦争の恐ろしさや悲惨さを伝える活動をライフワークとし、全国を飛び回る。
6日は広島、9日は長崎の原爆祈念日だった。被爆者の平均年齢が80歳を越え、ほとんどの国民が戦争を知らない。吉永は「核兵器のない世界が実現するのはまだまだ難しい問題だけど、思うことを口に出すことが大事」と真剣なまなざし。「『いい時代だね』と言って黙っているのは良くない。今のこの戦後が未来まで続くように、口に出して、みんなで(平和を)作っていきましょう」と力強く呼びかけた。
また、自身も「今後も映画人として平和のためにやってきたい」と歩みを止めないことを誓った。