進次郎氏 投票10分前に石破氏支持を表明「健全な批判勢力が必要」
自民党総裁選は20日開票され、安倍晋三首相(63)=総裁=が石破茂元幹事長(61)を破り、連続3選を決めた。
安倍首相は553票を獲得し、254票の石破氏に倍以上の大差をつけた。
ただ党員・党友票の得票率は目標の55%に辛うじて達したものの、地方を中心に伸び悩んだ。支持候補者を明言しなかった小泉進次郎筆頭副幹事長は、投票開始10分前に、石破氏への投票を記者団に表明。周囲に「健全な批判勢力が必要だ」と話して、一票を投じた。
安倍首相の3選が確実視されていた総裁選。唯一態度を表明していなかった“次世代のプリンス”が、投票先を明言したのは、残り10分だった。
総裁選について、小泉氏は「何をしてもしなくても(文句を)言われる」と慎重な発言に終始してきた。自身の態度表明が選挙情勢に与える影響を考慮し、発言を控えてきた。
しかし、この日、党本部に姿を見せた際には、記者団に「石破さんに入れます」とコメント。投票後は、「違う声を強みに変える自民党でなければならないと思った。(自分が態度を)表明しなかったからこそ、2人の論争に注目が集まったのではないか」と述べた。石破氏支持を決めた時期は「私の中では(最初から)決まっていた」と語った。
小泉氏の投票までの経緯は、ネットを中心に波紋を呼んだ。「石破氏を支持しつつ、安倍首相を勝たせた」“バランス戦略”という見方もある一方で、「双方にいい顔をした」と八方美人的なやゆも。橋下徹元大阪府知事は、18日に自身のメールマガジンで「政治家に必要な能力」に「究極な場面での決断力と説明力」を挙げた上で、小泉氏を「政治家としての期待を失った」「一国民として非常に残念だった」としていた。
選挙は、国会議員票で安倍首相が329票と石破氏の73票に大差をつけながら、地方票では安倍氏224票に対し石破氏も181票を獲得するなど、石破氏が善戦した。安倍陣営は国会議員票も340票に達すると事前に読んでおり、隠れて石破氏に投票する議員が一定程度いたことをうかがわせた。
アベノミクスの効果が地方に及んでいないとの不満に加え、森友、加計学園問題を巡る批判が根強い安倍氏が「選挙の顔」を続けることへの不安感が現れた可能性がある。