元「新潮45」編集長・中瀬ゆかり氏 少数者に寄り添ってきた…悔しさをテレビで
新潮社出版部長の中瀬ゆかり氏が27日、TOKYO MXの「5時に夢中!」に出演し、同社の月刊誌「新潮45」が性的少数者(LGBT)への表現で批判を受けて休刊に至ったことについて苦渋の表情を浮かべて言及した。中瀬氏はかつて同誌の編集長を務めていた。
中瀬氏は2000年から7年半、同誌の編集長を務めた。「当時はまだLGBTという言葉はなかったんですけど」と中瀬氏は振り返り、「LGBTの方にお願いして寄稿してもらったりとか、寄り添ってきたという思いが私の中にはありまして」と性的少数者を差別するような雑誌作りはしてこなかったと述べた。
中瀬氏は「休刊に至るプロセスいろいろあるんですけど」とし、「差別的な表現が問題になって、それをチェックできなかったという編集体勢の不備と、その編集体勢を作ってしまった経営責任」と大きく2つを指摘。続けて、「傷つけた方に寄り添っていきたいと思っているんですけれども。本来はそういうことをしてきた雑誌であるはずなのに、こんなことになったことは、個人としても非常に忸怩たる思いがある」と悔しさをにじませた。
中瀬氏はまた、「言論の自由、表現の自由、意見の多様性、そして編集権の独立ということをすごく大事にしてきた会社なんです。新潮社は」と社風についても触れた。
「よく言われることですが、編集権の独立ということは社長であっても週刊新潮の記事は止められないという言葉がうちの会社では言われているように、権力の介入を許さないということでやっている」と雑誌作りの方針を示した。
さらに、「そういう意味では編集長が全部を見て雑誌を作り上げている。そこには介入できないというシステムはあるんですけども、それによってこういうものが編集の段階でチェックしきれずに常識を越えたものが出てしまった。言論の自由は大切に守らなければいけないが何でも言っていいということとはもちろん違う。今回のケースはそれに当てはまってしまったということなんです」と同誌10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題した特集に行き過ぎた表現があったことに触れた。
中瀬氏はまた、「雑誌は土俵だと思ってるんで。そこにさまざまな力士というか原稿が載って、そこで闘わされる意見がある。そこで議論が噴出して社会の方向性が見えてくる。なので、これによって言論が萎縮したり、例えばLGBTの方のことを扱うのはタブーになったりすると一番悲しい。みんなで考える影響ということになるなら、休刊も意味がある」などと語った。
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