１５日に乳がんを起因としたがんの全身転移で亡くなった、女優の樹木希林さん（本名・内田啓子、享年７５）の葬儀が３０日、内田家の墓がある東京・麻布の光林寺で営まれ、１５００人が参列した。樹木さんの長女、内田也哉子（４２）の夫で俳優の本木雅弘（５２）は悲報後、初めて報道陣の取材に応じ、今春に余命宣告を受けてから“終活”を始めた樹木さんの最後の半年間を説明。也哉子がロックミュージシャンの父、内田裕也（７８）のラブレター秘話を明かすなど、４０年以上の別居婚を続けてきた奇妙な夫婦の愛の深さを浮き彫りにした。

　夫で喪主の内田裕也は体調が優れないため、也哉子が代理で親族のあいさつをした。１９歳で本木と結婚するまで母と２人暮らし。存在するのに不在の父に悩み、母を問い詰めると「だって、お父さんには、ひとかけらの純なものがあるから」と説明されたという。

　母の死後、樹木さんの書庫で父のラブレターを発見した。結婚翌年の１９７４年１０月１９日付。ロンドンのホテルの色あせた便箋に「オレの夢とギャンブルで高価な代償を払わせていることは自覚しています」「メシ、コノヤロー、テメエでも愛しています」などとつづられていた。

　読み上げた也哉子は「勝手だけれど感謝と親密な思いが詰まった手紙に私は絶句してしまいました。わだかまりがスーッと解けていくのを感じたのです」と声を詰まらせた。

　車いす姿の裕也は、一言も残さず会場を去った。タクシーに乗り込む際にはファンから「ロックンロール！！」の声が上がり、ニヤリと笑った。

樹木希林さんの祭壇　【右】