中国当局が取り調べ報告のICPO総裁・孟宏偉氏 妻に刃物絵文字送っていた
中国出身の孟宏偉国際刑事警察機構(ICPO、本部フランス・リヨン)総裁が一時帰国後に消息不明となった問題に絡み、中国公安省幹部らが出席した8日の会議で、孟氏が国家監察委員会に収賄容疑などで調べられていることが報告された。収賄容疑の詳細は不明。
ICPOは7日、孟氏の辞表を受理したと発表。即時の辞任で、2020年までの残りの任期を務める次期総裁を11月の総会で選ぶとしている。
AP通信などによると、これに先立ち孟氏の妻は7日、リヨンで記者会見し、9月25日から孟氏と連絡が取れなくなったと説明。通信アプリを通じ孟氏から「私の電話を待って」とのメッセージが来た後、「身の危険」を知らせようとしたとみられる刃物の絵文字が送られてきたと明らかにした。その後、連絡はなく、何が起きたか分からないという。
孟氏は北欧を訪れた後に仕事で中国へ向かった。妻は「真実と正義を追求する」との声明を読み上げた。自身と子ども2人の身の安全に不安があるとして、顔の写真撮影は認めなかった。
中国では女優のファン・ビンビン(37)が謎の失踪。数カ月後に、脱税容疑で当局の取り調べを受けていたことが発覚した。ファンはその後、およそ140億円あまりの追徴課税と罰金の支払いを命じられている。
一方、孟氏は、治安・司法部門トップだった元最高幹部、周永康氏(収賄罪などで無期懲役)に近いとされる。公安省によると、今月8日の会議では「習近平同志(国家主席)の共産党の核心としての地位の擁護」や「周永康の害毒の一掃」を強調。孟氏への調査は、習氏の政敵だった周氏の影響力排除が大きな目的だと強く示唆している。 孟氏は16年11月、中国人として初めてICPO総裁に選出された。