穂積隆信さん死去「医学の発展のため」献体に…「積木くずし」で社会現象に
非行に走った娘との日々をつづったノンフィクション「積木くずし」の著者で、味のある脇役として活躍した俳優・穂積隆信(ほづみ・たかのぶ、本名・鈴木隆信)さんが19日、胆のうがんのため、神奈川県内の病院で死去した。87歳。静岡県出身。所属事務所が明らかにした。「積木くずし」は約300万部のベストセラーとなり、ドラマ、映画化もされるなど、社会現象を巻き起こした。
穂積さんは俳優座養成所をへて、1959年に今村昌平監督「にあんちゃん」で映画デビュー。映画「鬼畜」などに出演したほか、ドラマ「飛び出せ!青春」(72年)の教頭役などで人気を博した。1人娘だった故・由香里さん(03年に死去)の非行と更生を記録した「積木くずし」が82年に大ベストセラーに。自らの体験をもとに教育に関する講演、執筆活動も行った。声優としても活躍し、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でクリストファー・ロイドさんが演じたドクの吹き替えも担当した。
今年2月24、25日に出演した三越劇場での舞台「人生のおみやげ」が最後の仕事になった。
所属事務所によると、8月に黄だんの症状が出て、胆のうがんであることが判明。人生の残り時間を悟った穂積さんは「(最期は)静かに死にたい」と話していたという。
また生前、「医学の発展のため、(遺体は)献体してほしい」と希望しており、大学病院で献体に回された。