「積木くずし」穂積隆信さん死去 03年に35歳で急逝した娘・由香里さんの元へ
ドラマ化や映画化もされた小説「積木くずし~親と子の二百日戦争」の著者で俳優の穂積隆信(ほづみ・たかのぶ、本名鈴木隆信=すずき・たかのぶ)さんが19日未明、胆のうがんのために神奈川県内の病院で亡くなったことが20日、分かった。87歳。1959年に映画デビュー以来、特徴のある役柄を数多く演じ、味わい深い名脇役として活躍した。生前の本人の希望で遺体は献体され、葬儀・告別式は行わない。所属事務所は、現時点でお別れの会を行う予定はないとしている。
所属事務所によると、穂積さんは、8月に黄だんの症状が見られたため病院へ行ったところ、胆のうがんであることが判明した。医師から「早くて半年、もって1年」と余命宣告され、神奈川県内の病院へ入院。余命宣告からわずか2カ月で帰らぬ人となった。
今年2月に出演した舞台「人生のおみやげ」が最後の仕事。この頃から付き人に頻繁に「静かに死にたいね」と話していたといい、病気のことは内密にし、所属事務所にも伝えていなかった。亡くなった19日に付き人が事務所に死去を報告した。関係者は「眠るような最後だった。安らかな顔だったと聞いています」と語った。
穂積さんは、俳優座養成所を経て1959年に映画デビュー。ドラマ「飛び出せ!青春」(72年)の教頭役など、数多くのドラマや映画に出演し、名バイプレーヤーとして活躍した。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でクリストファー・ロイドさんが演じたドクの吹き替えも担当した。
82年、娘の由香里さんの非行から更正までをつづった小説「積木くずし~親と子の二百日戦争」がベストセラーに。ドラマ化され社会現象を巻き起こした。
90年代に入ってからは由香里さんと良好な関係を保っていたが、03年、由香里さんが心不全のため35歳で急逝。穂積さんは「由香里は敵であり味方だった。優しさや愛…いろんなことを教えてくれた」と涙ながらに語っていた。
穂積さんは生前、「医学の進歩のために」と自身の体を献体することを希望したため、遺体は都内の大学病院に運ばれた。