安田純平さん、拘束中は虐待状況 3年4カ月ぶり解放

 内戦下のシリアで2015年6月に拘束され、約3年4カ月ぶりに解放されたジャーナリスト安田純平さん(44)が25日午後6時20分ごろ、一時滞在先のトルコから空路で帰国した。航空機内で共同通信の取材に応じ、拘束中に虐待を受けていたことを明らかにした。成田空港では妻で歌手の深結さんや両親と再会。深結さんは空港で記者会見を開き、安田さんのコメントを発表。「長い監禁生活でかなり痩せていた」と夫を気遣った。

 トルコ国内線でロイター通信などの取材に応じた際には「日本政府が動いて解放されたかのように思う人がいるんじゃないか。望まない解放のされ方だった」と複雑な胸中を語った安田さん。

 日本に向かう機内では共同通信の取材に「暴力や嫌がらせを受け、拘束中は虐待としか言いようがない状況だった」と過酷な日々を振り返った。「食事や衣服など生活を取り巻く全ての環境が、拘束した彼ら次第でひどくなった」「半年以上も水浴びをさせてもらえなかったり、武装勢力の機嫌が悪いと、缶詰をもらっても缶切りをもらえなかったりした」と、行動を厳しく制限された様子を打ち明けた。NHKの取材には、「韓国人のウマル」と映像で名乗ったことについて、「拘束中に(イスラム教に)改宗しなければならなくなりウマルにした」「日本人であることや本名を言うのは禁止されていた」と説明。報道陣に帰国が近づいていると言われると、笑みを浮かべうなずいた。

 安心感からか、缶ビールを飲み、リラックスした様子も。同乗した外国人男性から日本語で「ひどい環境から解放されて良かったね」とねぎらわれると、笑顔で「サンキュー」と答え、一緒に写真に納まった。

 成田空港に到着後は、妻・深結さんや両親と対面。泣きながら抱きついた深結さんに、照れた様子で「ただいま」と応じた。母の作ったおむすびやきんぴらも食べたという。

 この日は会見せず、深結さんを通じ「大変なお騒がせご心配をおかけしました。おかげさまで、無事帰国することができました。ありがとうございます。可能な限り説明をする責任があると思っています。折を見て対応をさせていただくので、今日のところはご理解ください」とコメントを発表した。

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