パスカルズのマツ 6年ぶりの新作「日々、としつき」と来し方を語る(後)

 結成から23年を迎えた14人編成のインストゥルメンタルバンド「パスカルズ」が今年9月、6年ぶりのニューアルバム「日々、としつき」をリリースした。フランスを中心に海外でも人気の高いパスカルズのリーダー、ロケット・マツ(61)に、新作とパスカルズの“日々、としつき”について聞く、その後編。

  ◇  ◇

 パスカルズの始まりは1995年1月だ。

 「パスカル・コムラードというフランスの音楽家がいるんですね。オモチャの楽器やピアニカを使って、ミニマルミュージック的な、ちょっとシャンソン的なインストを作る。最初、その人のカバーをやる深夜イベントがあって、30分くらい時間をもらって、その時にメンバーの何人かを集めたんですね」

 「やってみたらすごく面白かった。音圧の軽い楽器でけっこうサイケデリックな曲調で-パスカル・コムラードってそういう感じなんですけど-生でやってみた時にすごく面白くて。その時点ではバンドなんてやるつもりなかったけど、1回限りで終わらずにパスカルズになっていったって感じなんです」

 その時の編成は「7人くらい」だったが、「14人に落ち着いて、20年くらい不動のメンバーでやっています」。

 14人の中で一般的にもなじみのあるメンバーは、元「たま」の石川浩司と知久寿焼だろう。石川は最初期からのメンバーで、トイピアノ担当のあかねが「絶対呼んだ方がいい」と猛プッシュしての参加。知久はその「約1年後ぐらいのライブを見に来てて、自分からやりたいって言ってくれて」参加。「たま」が活動中の頃だ。

 14人の大編成で、メンバーはパスカルズ専業ではないため、スケジュールが合わなくて苦労や悔しい思いをしたこともあるというが、「ライブで何とも言えない、ちょっと他にはない感じが出てくる。あのメンバーが集まるから出るような色とか匂いとか、みんなで大切にしている曲をできる喜びみたいなものがありますから」と、パスカルズで活動する興趣には他に代え難いものがあるようだ。

 パスカルズは来日したコムラードにアルバムとデモテープを渡したことがきっかけで2001年、アルバムがフランスなど世界各国で発売され、仏ル・モンド紙で推薦盤に選ばれるなど高く評価された。同年、フランスの大規模な音楽フェスティバルに招かれ、その後はフランスを中心とした欧州ツアーをたびたび開催。スペイン、スイス、イギリス、ドイツ、ベルギーなどでも公演を行ってきた。

 「やっぱりインストゥルメンタルで歌詞がないから、そういう壁はまずなくて。あとはけっこうシンプルなメロディーが多いので、そんなに複雑な曲ではなくて、その中で自由度があると思うんです。あとは石川浩司のパフォーマンスが受けるんじゃないでしょうか。それは大きいと思います。(海外メディアの写真で取り上げられるのは)石川ですね」

 マツは海外で人気の理由をこう分析する。

 今年も11月下旬にフランスとスペインを回る欧州ツアーを敢行。帰国後は12月4、5日に東京・吉祥寺スターパインズカフェでライブを行う。「日々、としつき」の世界を、西洋にも東洋にも届けていく。(終わり)

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