シリアで２０１５年に拘束され、３年４カ月ぶりに帰国したジャーナリスト安田純平さん（４４）が２日、都内の日本記者クラブで会見し、国内で高まる“自己責任論”を掲げて批判する人たちの声に対して「私の自業自得」と真摯に受け止め、自身の見解を語った。

　安田さんの解放をめぐって、ネット上では「国に迷惑をかけた」「日本政府の言うことを聞かないで紛争地に行ったのなら帰ってくるな」「国民の血税が身代金になってテロリストに流れた」「人質ビジネス」などと、事実誤認も含めたバッシングにあふれている。

　こうした現状に対し、安田さんは「私自身に批判があるのは当然のことだと思います。ただ、事実と異なることもありますので、あくまで事実に基づいたもので（批判を）やっていただきたいです」と受け止め、「紛争地に行く以上は自己責任。何があっても自分で引き受け、自分の身に起こることについてははっきり言って自業自得だと考えています」と持論を語った。

　日本政府の対応については「本人がどういう人物であるのかによって、行政の対応が変わるとなると、これは民主主義国家にとって非常に重大な問題だと思います」と指摘。一方で「今回、外務省としてできることをやっていただいた。家族のケアもしていただき、ありがたいと思っています」と感謝した。

　今後、再び紛争地取材について問われると「行くかどうかは全く白紙です。分からないです」と返答。別の記者から「現地に行ったのは記者の使命からか」と聞かれると、「“使命”など、そういうおこがましいことを考えたことはない。“戦争”とは『国家が人を殺す』ということを伝えるために、（国家の発表でなく）第三者である外国人ジャーナリストが現地に行って伝えることが絶対に必要だと思うからです」と意図を説明した。

　家族については「私に何が起こっても『何もしないように』と伝えていた。自己責任だと思っていたので」と明かし、「両親はかなり高齢なので、いいかげん親孝行しなくちゃいけないかなと考えています」と神妙だった表情から一転、この時ばかりは“息子”の顔に戻って苦笑した。