組織のリーダーは松平健さんに似ていた 安田純平さん一問一答(上)
内戦中のシリアで3年4カ月にわたって武装勢力に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が2日、都内の日本記者クラブで帰国後初の会見を行った。報道陣との質疑応答から要点をまとめた。(上)(下)で。以下は(上)。
-ネット上でのバッシング、批判が殺到していることが各国で報じられている。こうした日本社会の現状についてはどのように受け止めているか。
「私自身に批判があることは当然だと思っています。何があったかということについて、批判いただき検証することは当然のこと。そこに対して疑問はありません。ただ、事実に基づいたものでやっていただきたいというお願いはあります」
-計画の段階から人質と見られていたと感じるようなことは。
「道案内人が様子を見に行っている間に私は別の方向に入ってしまった。完全に私の凡ミス。仕組まれていたというのはどうかなと思っています」
-拘束される中で、絶望を感じたりはしませんでしたか。
「身動きができない時や、どう考えてもこれは不可能だと思ったときにはかなり腹が立って、ドアを蹴りまくりました。『(組織メンバーの話し声を)そんなに聞かせたくないなら、鼓膜を破って耳を潰してくれ。それでいいじゃないか。一生耳が聞こえなくても、家族と話すことができなくても、俺は帰りたい。お前たちは音を聞かれたくないんだろう。お前たちも俺もそれを望んでいるだろう』と言いましたが、無視されました。ドアを蹴りまくった時は絶望でしたね。それは何回もありました」
-相手組織の人数や年代、リーダーの容姿を教えてください。
「最初の民家では5人。時々、動画や写真を撮る人が来たり。大きな施設に関しては地下1階、地上5階で、100人単位の囚人がいるのではと思います。年代は10代。17歳という者がいた。50代かと思う人もいて。リーダーの容姿ですが、俳優の松平健さんのような顔をしていて、私は勝手に『ケン』と呼んでいました。彼はイラクに行ったことがあり、クエートに近い刑務所と基地の施設で働いていたそうです」