戦争は国家が人を殺す決定をする なぜ殺されなければ…安田純平さん一問一答(下)

 内戦中のシリアで3年4カ月にわたって武装勢力に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が2日、都内の日本記者クラブで帰国後初の会見を行った。報道陣との質疑応答から要点をまとめた。(上)(下)で。以下は(下)。

 -戦場からの報道の必要性についてどう思うか。安田さんにとって使命であるのか。

 「使命というのは誰かから与えられるもの。私自身が誰かから求められているとか、おこがましいことは思っていません。あくまで私自身が知りたいことや疑問に思っていることを現地で取材して、それを皆さんに知っていただきたいと思ってやっています」

 「国家とは原則、人の命を守る存在ですが、戦争は国家が人を殺す決定をするわけです。なぜ殺されなければいけなかったのか、国家がそういった行動をすることについて我々はそれで良いと考えるのかを判断する材料は絶対に必要です。その判断材料は当事者である国家から提供されるものだけでなく、第三者からも提供されるべき。難民など、巡り巡って日本にも影響がある。地球上で紛争が起きている場所があれば見に行くことはジャーナリストは絶対に必要だと考えています」

 -安田さんが注目を集める一方、シリアはあまり報道されない。

 「報道の注目が私自身に集まることは当然であると受け止めています。そこから更に、そこ(シリア)で何が起きているのか、この先何をすべきなのかの関心を持ってもらいたい。私を捕まえた組織が何者なのか。関心を持ち続けていただきたいということはお願いとしてあります」

 -奥様が表に立って活動されてきました。

 「家族には何もしないようにと伝えていましたが、家族の気持ちとしてそれは難しかった。感謝しています。私自身の取材の内容については家族には全く話しておらず、自己責任だと思っています。特に両親もかなり年で、捕まっている間に亡くなることもありえたわけで、気にかけていました。いい加減、親孝行しなければいけないということも考えていますので、今後の取材の仕方であったり、そういう部分でもう少し慎重に考えることはあるかもしれません」

 -市民側から民主運動の声をあげようとSNSでメッセージを発信しているという報道もあった。何らかの情報を見聞きしたか。

 「捕まっている囚人の中に子どもがいた。尋問の中身を聞いていると、政府側のスパイだったと。障害者も使ったりする。ふらふらっと反政府側の地域に入らせている。戦争ですから、お互いにスパイを潜り込ませることは当然だが、子どもを使っていることに反発して反政府側に入っていく人間が増えてきた背景もある。空爆のがれきの中から子どもや女性のひどい遺体がいくつも出てくる場面を見てきました。人身売買もされていた。武装組織によって被害を受けるということも起きている。その中で民主化運動をしたい人がいることは理解できる」

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