小倉キャスター膀胱全摘出へ…膀胱がん治療 【専門家の解説】尿路変向術が必要
小倉智昭キャスター(71)が5日、MCを務めるフジテレビ系「とくダネ!」(月~金、前8・00)の番組内で、膀胱(ぼうこう)がんの治療のため、膀胱を全摘出する手術を受けることを明らかにした。11月下旬から長期休養し、手術を受けるという。また、術前検査を受けるため、6日から9日まで同番組を休むことも発表した。
【松本クリニック・松本浩彦医師の解説】
膀胱がんはほとんどが内側の粘膜表面で止まり、筋層まで達しない「表在がん」で、尿道からカメラを入れて腫瘍を削れば治ります。
一方、粘膜の中を這って広がる「上皮内がん」は悪性度が高く、筋層に達せば浸潤がんとなり、膀胱を全摘出せざるを得ません。ですが手術の決心がつかない人は多く、上皮内がんのうちに免疫療法や抗がん剤治療で治そうとしますが、多くの場合、効果がありません。
膀胱を全摘すると、新たに尿の出口を作る尿路変向術が必要となります。大きく分けて、小腸の一部を尿道代わりに腹部から出してストーマにする回腸導管と、小腸で代用膀胱を作って尿道につなぐ方法があります。代用膀胱は見かけは良いのですが、排尿障害が出やすく、手術も難しいことから、最近は減っています。
膀胱がんの最大の原因は喫煙とされており、患者もほとんどが男性です。痛みを伴わない血尿で発見されることが多く、通常は前述のとおりカメラで治療できます。しかし再発率が半数近いので検査は一生涯、必要です。今回残念なのは、膀胱を取らずに済む方法を模索しているうちに進行してしまったことですが、転移さえなければ手術で完治する可能性が高いことが救いです。