安倍首相“恩人”津川雅彦さんに別れのスピーチ 第1次政権後に励まされた
今年8月に心不全のため78歳で亡くなった俳優の津川雅彦さんと、4月にアルツハイマー型認知症のため82歳で亡くなった女優の朝丘雪路さんとの、夫婦の合同葬お別れ会が21日、東京・青山葬儀所で営まれた。喪主を務めた長女で女優の真由子(44)が親族を代表してあいさつし、2人の仰天エピソードなどを披露。津川さんと親交が深く、18日に外遊から帰国したばかりの安倍晋三首相(64)も駆けつけた。会場には多くの俳優仲間、関係者、ファンら約1100人が訪れ最後の別れを惜しんだ。
分刻みのスケジュールの中、安倍首相は自身を支えてくれた“恩人”の津川さんに向け、5分を超えるスピーチで別れを告げた。
安倍首相と津川さんとの付き合いが始まったのは、約10年前。体調不良により首相を辞任した直後だった。「第1次政権が1年で終わり、政治家としては厳しい時を迎えていました。政界では、力を失ったり厳しい状況になると、サーッと人が引いていきます。その中で逆に津川さんは、ブログで私にエールを送っていただいた」と振り返った。
これに感動した安倍首相が津川さんに要望し、食事をともに。その席で「頑張ってもう一回やりなよ、しばらく時間かかるかもしれないけど。それまでは一緒においしいもの食べたり、俺の仲間を紹介するから、楽しい時間を過ごさないか」と励まされ、津川さんが主催する勉強会「耽美会」に呼ばれるようになったという。
津川さんのサポートもあり、12年12月には首相に復帰し、第2次政権をスタート。大きな外交問題の1つである、北朝鮮による拉致問題については、津川さんがボランティアで中心的な役割を担った。また、愛国者であり日本の「美」をこよなく愛する津川さんを、「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」の座長に任命。この日は、フランス・パリで開催中の複合芸術イベント「ジャポニズム2018」の名を挙げ、「津川さんの理念と執念の結晶」とたたえた。
「優しさに満ちあふれた方。勇気を与えていただいた」と、改めて感謝の思いを述べた安倍首相。「晩年は、世の中に種をまくことを大切にされていた。天上から、最愛のお嬢さまのことを、そして自分のまいた種が育っていく様を見守っているのではないかと思います」と、天国の津川さんをおもんぱかった。