止まらないゴーンショック 海外子会社報酬も不記載か
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が、日産本社以外にもオランダにある子会社から毎年、億単位の報酬を得ていたのに、有価証券報告書に記載していなかった疑いがあることが21日、関係者への取材で分かった。一方、日産自動車は、ゴーン容疑者が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めているフランス大手ルノーとの企業連合の在り方を見直す検討に入ったことが分かった。
ゴーン容疑者が無償で利用したとされるフランス、オランダ、レバノン、ブラジルの住宅はこの子会社などが購入しており、東京地検特捜部は不正の中核的な役割を担ったとみている。虚偽記載が長期にわたることから「両罰規定」を適用し、法人としての日産の立件も視野に捜査する。すでに関係者への任意の事情聴取も始めた。
日産は22日に臨時取締役会を開き、ゴーン容疑者の会長職を解く。ルノーとの提携の在り方も見直される。現在日産の43・4%の株式を保有しているルノーの出資比率引き下げや、新たな役員構成が、役員報酬のシステムなども話し合われる見込み。
日産幹部は取材に対し「現在の関係はフェアではない。出資比率の引き下げも議論する」と話した。「ルノーと日産のトップが一緒では利益相反の問題がある」とも述べ、ガバナンス(企業統治)立て直しのため早急に対応する考えを示した。
ゴーン容疑者が逮捕容疑の5年分約50億円とは別に、直近3年分の報酬も数十億円少なく記載していたとみられることも分かった。日産の有価証券報告書に記載されたゴーン容疑者の直近3年の報酬額は、16年3月期が10億7100万円、17年3月期10億9800万円、18年3月期7億3500万円。
また、株価に連動した報酬を受け取る権利計数十億円分を記載しなかった疑いや、家族旅行の代金と飲食代などを日産側に負担させていた疑いがあることも判明した。
東京地裁は同日、ゴーン容疑者と、側近の代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)について、いずれも10日間の勾留を認める決定をした。