仲村トオル 恩師「あぶ刑事」黒澤満さん葬儀で涙の弔辞「劇的に人生変わった」
ドラマ「あぶない刑事」のプロデューサーとして知られ、11月30日に死去したセントラル・アーツ社長の黒澤満(くろさわ・みつる)さんの葬儀・告別式が7日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。吉永小百合、藤竜也、松田美由紀、松田翔太、石橋蓮司、吉川晃司らが参列。黒澤さんが手がけた「ビーバップ・ハイスクール」や「あぶない刑事」に出演し、かつてセントラル・アーツに所属した仲村トオル(53)が涙ながらに恩師に捧げる弔辞を読み上げた。
第一声の前から鼻をすすった仲村は「33年前、昭和60年の夏、父親を亡くした次の年に黒澤さんと出会うことができました」と「ビーバップ-」の出演者募集に応募した時を回想。「選んでくれてありがとうございました。劇的に人生がいい方向に変わったのは黒澤さんのおかげ」と感謝した。
撮影で映画のとりことなり、黒澤さんに俳優を続けたいと相談したところ、「変なところと契約しないで、しばらくセントラル-にいればいい。(松田)優作もいるから」と勧められたという。
翌年に「あぶ刑事」に出演。初の連続ドラマで舘ひろし、柴田恭兵らと出会ったことも「黒澤さんのおかげです」とした。ずっと涙声だった仲村は、6日の夜に喪主の長男・黒澤純(まこと)氏から「泣かないでやってくれ」と言われたと明かしたが、「無理ですね」。事前に弔辞の長さをストップウォッチで計ったと明かし、「10分以上ありました。もう少し読ませてください」と続けた。
亡くなった11月30日に自宅を訪ねたという仲村は「黒澤さんがニューヨークで『なぜか人に道を聞かれるんだよ』と自慢げに話した時の横顔を覚えています。スペイン・マドリードにいるとき、石原裕次郎さんが亡くなったという知らせが届いて。黒澤さんはスペインの夕暮れの空を見上げて『涙が出るな』とつぶやいていました。その横顔を覚えてます。黒澤さんとする旅は楽しかった」と振り返った。
見舞いに行ったときのやりとりも披露。「良くなったら、うどんを食べに行きましょう。もっと良くなったら、僕の運転で箱根の温泉に行きましょう。さらに良くなったら『あぶない刑事』の台本に舘さんと恭兵さんのサインをもらって、それをネットで売って、またスペインに行きましょう」と約束したといい、「一つも実現しなくて残念です」と声を絞り出した。
「もし来世というものがあるならば、また黒澤さんの手の平ですてきな人に出会う旅をしたい」と誓った仲村。最後に「どれだけ(弔辞を)読んでも、100万分の1にも満たない。感謝の気持ちが追いつかない。セントラル・アーツの現場はみんな黒澤さを尊敬し、大好きでした。もちろん、僕もその中の1人でした。お疲れさまでした」と号泣しながら天国に思いを届けた。