将棋の第３１期竜王戦７番勝負は１３日、第６局の２日目が鹿児島県指宿市で指され、タイトル通算１００期の大記録がかかる羽生善治竜王（４８）が、挑戦者の広瀬章人八段（３１）に敗れ、対戦成績を３勝３敗のタイに持ち込まれた。羽生竜王は次戦の最終局に負けると、２７年ぶりに無冠となる。

　対局は羽生竜王の後手番。「横歩取り」という戦型から、大駒を取り合う激しい展開になった。次第に挑戦者にリードを奪われ、差を詰め切れずに昼食休憩前の正午すぎに投了に追い込まれた。

　対局後、羽生竜王は「失敗している気がしていた。まとめ方が終始、難しい将棋だった。次は最終局なので、自分なりにできる限りのことをして頑張りたい」と淡々とした様子。広瀬八段は「しのいで五分五分まで持ってこられた。ファンも注目していると思うので、気を引き締めたい」と力を込めた。

　羽生竜王は１９８９年、初タイトルとなる竜王を奪取。９１年３月の棋王以降は、いずれかのタイトルを保持している。昨年１２月に竜王を奪取し、史上初の永世七冠を達成。通算タイトル獲得記録も９９期に更新した。

　最終の第７局は２０、２１の両日、山口県下関市で行われる。今期、防衛すれば、タイトル獲得数が大台に到達する状況には変わりないが、次戦は“夢”と“無冠”の両極端をかけた一局になる。