将棋の羽生善治竜王（４８）が２１日、山口県下関市で行われた竜王戦７番勝負第７局で広瀬章人八段（３１）に１６７手で敗れ、１９９１年以来２７年ぶりにタイトルを失った。平成元年の８９年に初タイトル「竜王」を獲得。いったんは無冠となったが、９１年に「棋王」となって以降はタイトルを保持し続け、「永世七冠」も達成した。国民栄誉賞を受賞するなど将棋界のトップランナーとして活躍してきたが、平成最後の竜王戦で無冠となった。

　対局に勝利した広瀬新竜王は「これほど注目された舞台は、今後の棋士人生でないかもしれない。悔いの残らないよう戦った。結果を出せて一息ついたという感じです」と喜びのコメント。「タイトルを名乗らせていただく立場になったので名に恥じないように。盤上以外のことでも貢献したい」と胸を張った。広瀬新竜王はこれまでにもタイトル「王位」を獲得したこともある実力者。１７日には佐藤天彦名人（３０）を破り、「棋王」挑戦も決めていた。

　一方、ネット上などでは過去の対局で、広瀬新竜王が羽生前竜王との対局に敗れ、ぼうぜんとしている様子が「闇のゲームで魂を抜かれた棋士」などとして話題になったこともあった。今年２月には「朝日杯将棋オープン戦」の決勝で藤井聡太七段（１６）に敗れ、準優勝していた。