羽生九段 89年の六段以来29年ぶり肩書段位に…将棋連盟「本人の意向」で
将棋の竜王を21日に失い、27年ぶりの無冠となった羽生善治前竜王(48)は今後、九段の肩書を使用することになった。日本将棋連盟が25日に発表した。タイトルを失冠すれば通常は段位を使うが、七つの永世称号を持つ第一人者が何を名乗るのか、注目されていた。八大タイトルのうち、竜王と名人は失冠後、1年間は前竜王、前名人の肩書を使うことができる。将棋連盟によると、羽生前竜王は九段を希望したという。
日本将棋連盟は、無冠となった羽生善治前竜王の肩書を「本人の意向を踏まえ『九段』とすることに決定いたしました」と公式ホームページで発表した。
10月に開幕した第31期竜王戦7番勝負で、羽生九段は前人未到のタイトル通算100期が懸かっていたが、挑戦者の広瀬章人八段(31)に167手の末敗れ、1991年以来、保持するタイトルが無くなった。大一番での敗戦で、今後の肩書を「前竜王」とするのか、初めて名乗る「九段」とするのかに注目が集まっていたが、自らの意思で段位を名乗ることを決めた。
羽生九段は前竜王として91年に棋聖位を獲得し、以降は何らかのタイトルを保持し続けていた。そのため、肩書として段位を名乗ったのは、89年に竜王位に挑戦した際の「六段」が最後で、七、八段は名乗らずに通過していた。
「名人」「竜王」は、無冠になった際には次期タイトル戦まで「前名人」「前竜王」と名乗ることが許される。羽生九段は、90年に竜王のタイトルを失った際には「前竜王」と名乗っていた。また、永世位が設定されている7タイトルすべてで永世位を保持していることから、「永世~」と名乗る可能性もあったが、潔く「九段」とした。
98年に名人位と竜王位を失った谷川浩司九段(56)は称号を辞退し「九段」となった。羽生九段も同じ道を選んだ形。今後は“タイトルを狙う一人の棋士”となって、夢の100期を目指すことになる。