役所広司 大河「いだてん」に託す東京五輪の夢 「世界のお手本になって」
俳優の役所広司(63)がこのほど、都内で、25年ぶりに出演するNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(1月6日スタート、総合、後8・00)の取材会に出席した。“日本スポーツの父”と呼ばれる嘉納治五郎役の役所は、昨年の日本スポーツ界に起こったパワハラ問題について、「嘉納さんが生きていたら、ずいぶんお怒りになったんだろうな」と想像。2020年の東京五輪が「世界のお手本」となることを切に願った。
スポーツへの愛情が深い役所にとって、願ってもない役柄だ。日本で初めてオリンピックに出場した金栗四三の恩師で、「精力善用」「自他共栄」を掲げる講道館柔道の創始者・嘉納治五郎役。日本の五輪初参加に尽力した“日本スポーツの父”と呼ばれる大人物に抜擢され、「大河ドラマでオリンピックにまつわる話をする。すごい企画。2020年の東京オリンピックに向かって、最高のタイミング」と喜んだ。
人並み外れた情熱とユーモアを併せ持つ嘉納を昨年4月から演じる中、日本スポーツ界は揺れた。体操、ボクシング、レスリング、大学アメリカンフットボールなどで、パワハラなどの問題が相次いで発覚。役所は「嘉納さんが生きていたら、ずいぶんお怒りになったんだろうな」と胸の内を想像し、「リーダーっていうのは今後、日本のスポーツ、オリンピックに向けてすごく大事になってくる。2020年は、世界のお手本になって欲しい。嘉納さんは、そういう美しいオリンピックのために尽力されたんじゃないですかね」と訴えた。
自身が記憶する最初の五輪が、1964年の東京大会。「(出身地の)長崎の片田舎で、日本中が浮き足立っていたような気がしますね。(柔道の)ヘーシンクに負けた神永(昭夫)さんの試合が印象に残っています。日本柔道全体がショックを受けた空気を感じた」と振り返った。
98年の長野冬季五輪は、現地で観戦した。「日本がジャンプ団体で優勝したとき、ウエーブをやっていた。原田雅彦選手が調子が悪くて失速したとき、何万人がつくため息はすごい音。プレッシャーに耐えながらやっている選手は大変なんだなと思いました」。悲喜こもごもの現場から五輪の魅力を実感した。
自身は嘉納役を通じて、日本と五輪の歴史を伝える。近代を描く新機軸だけに「今までと違う大河ファンが増えるんじゃないかな」。回を重ねるごとに、東京五輪への関心が高まることを期待した。