天才囲碁少女を育てた独特の教育法 小学4年仲邑菫さん 藤井七段に通じる部分
囲碁の日本棋院が5日、都内で会見し、大阪市立高見小学校4年生の仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)が、4月1日付けでプロ入りすることを発表した。
10歳0カ月でのプロ入りは、藤沢里菜女流本因坊(20)の11歳6カ月を9年ぶりに更新する最年少記録。世界で戦える棋士を育成するため、日本棋院が新設した小学生までの採用制度「英才特別推薦棋士」の第1号となる。将棋の藤井聡太七段(16)にも劣らない“天才少女”が、囲碁界に誕生した。
藤井七段のデビュー時に話題となったのが、両親の教育方針。3歳から、子どもの自主性を重んじた「モンテッソーリ教育」を取り入れた幼稚園に入園させ、スイスの木製玩具「キュボロ」などの知育玩具で遊ばせた。菫さんの両親が施している教育も、やはり独特だ。
菫さんの父は、日本棋院関西総本部所属の棋士で、06年には勝率第1位賞を獲得した強豪・仲邑信也九段(45)。母は元アマ強豪で囲碁インストラクターの幸さん(38)、母の妹は関西棋院所属の石井茜三段(36)という囲碁一家に生まれた菫さんは、3歳から母・幸さんに手ほどきを受けて囲碁を始めた。
以来、仲邑家は完全に囲碁一色に。5年前、埼玉から大阪に転居した際には、「囲碁の勉強には不要」としてテレビを捨てた。また、藤井七段と同様、幼少時から囲碁以外の頭脳ゲームも併用。09年に史上初の五冠王に輝いた張栩(ちょう・う)名人(38)の著書を参考に、就寝前にはトランプやカルタといったカードゲームを家族で行っていたという。
才能と教育の効果が相まって、メキメキと上達。14年には5歳で関西アマ女流囲碁名人戦Bクラスを制するなど、有数の強豪に成長した。すると7歳時には、日本以上の強豪がそろう韓国に渡って勉強した。昨年4月からは12月までは、ついに韓国に短期留学。韓国棋院での研究生リーグに入り、昇級も果たした。学業との両立は目指さず、囲碁一本で勝負という姿勢は、プロ入り後に高校進学した藤井七段とは異なるものだ。
韓国では初めて年下の少年に敗れる屈辱も味わい、「人生終わった」と号泣したという。両親ともに「気が強い」「負けず嫌いで、囲碁にはいいんでしょうけど、ちょっとキツすぎて…」と評する性格は、藤井七段らトップ棋士に重なるものがある。
幸さんによると、菫さんは将来「世界一の棋士になりたい」と常々口にしているという。学校に行く平日は、1日6~7時間、休日は9時間ほどを囲碁の勉強に割く。張栩名人が「衝撃的な強さ」と称し、国民栄誉賞を受賞した井山裕太五冠(29)小学生時代の上を行くとまで絶賛した実力で、囲碁界にも“藤井フィーバー”級のムーブメントを起こしそうだ。